【マルセイユ(フランス)8日=高場泉穂】シャイな宮原が殻を破って勝つ。フィギュアスケートグランプリ(GP)ファイナルで、昨季銀に続く2季連続表彰台を狙う宮原知子(18=関大)が9日(日本時間10日)にショートプログラム(SP)を迎える。今季はこれまで思い切りのなさがミスにつながる結果になった。強敵のロシア勢を倒すためにも「変わりたい」と攻める気持ちを前面に出す。

 宮原が変わろうとしている。7日の練習を終えた後、珍しく闘志をみなぎらせた。「変わりたい。練習で出来たことが試合で出来ないことがたくさんあった。本番でも思いきり、前向きに出していけるように」と自分にハッパを掛けた。

 昨季はまさに「ミス・パーフェクト」。常に安定感ある演技を見せ、初出場のGPファイナルでも2位に入る活躍を見せた。だが、今季は10月のスケートカナダ、11月のNHK杯でもジャンプのミスを連発。体が縮こまっていた。理由は気持ちの弱さだった。殻を破るため、自分からあいさつするなど普段の生活から積極性を意識。SPでは連続ジャンプの前にひと呼吸を入れ、気持ちを高めるよう調整してきた。昨季より「20%ぐらい(自分を)出せている」。自分でも少しずつ変化を感じている。

 宮原は150センチと出場6人の中で最も小さい。手足の長さ、見た目のダイナミックさで劣るのは否めないが、浜田美栄コーチは「小柄な日本人がどこまで力強い外国人に挑めるか。力を出し切れば戦えると思っている。あとはメンタル。自信を持たせてあげられれば」。小柄ながら抜群の突破力で得点を量産するサッカーのアルゼンチン代表FWメッシをイメージするよう説いたこともあるという。

 変わりたいという強い気持ちは演技にも表れた。8日の練習では、フリーの曲にあわせ完璧な演技を披露。4人のロシア勢に負けじと、連続ジャンプを次々と決めた。「思い切り滑って、ショート(プログラム)から頑張りたい」と攻めの滑りをみせる。

<宮原のシャイアラカルト>

 ▼声が小さい 数年前まで取材エリアでの声が小さ過ぎるため、連盟の広報から毎回「大きな声で」と促されていた。ここ1年は少し大きくなったため、注意されないように。

 ▼サイの鳴きまね 昨季終盤、物静かなイメージを覆す意外性を求め、トレーナーと相談してサイの鳴きまねをひそかに練習した。コーチ陣は、カラオケに連れていき、歌を歌わせることも検討中。

 ▼話す努力 もともと人に話しかけるのが苦手。4月の関大入学後は出会いが多く、より積極的になった。今季は授業で磨いた英語で、海外の選手に話しかけようと試みている。

 ▼読書 中、高時代は「落ち着く雰囲気が好き」と学校の図書室に通っていた。今も常に本を持ち歩く。推理小説のシャーロック・ホームズシリーズが好き。