ツアー本格参戦から今年で10年目を迎える男子テニス、世界5位の錦織圭(27=日清食品)。円熟期を迎え、17年も新たな武器をひっさげ、まずは16日開幕の全豪(メルボルン)で4大大会初優勝に挑む。錦織の今年の新兵器を紹介する連載「錦織圭のここを見ろ!」の最終回は「新兵器大橋トリオでリラックス」だ。

 16日、現地時間午前11時。今年の全豪オープン1回戦を前に、集中する錦織。その耳には、柔らかな「大橋トリオ」の歌声が流れているはずだ。これが“趣味”、というのは「ないのが悩みなんですけどねぇ」と話すが、音楽はよく聴く。「大橋トリオ」は、集中したり、リラックスするための17年の新兵器だ。

 聴く音楽の移り変わりを聞くだけで、錦織の心情が分かるかもしれない。「米国に来たときは、一時、洋楽ばかり聴いていた」。誤解を恐れ「こういう言い方は悪いかも」と前置きした上で、「J-Popなんて」という時期があったという。

 英語もしゃべれない。環境、文化、食事もまったく違う米国に13歳で渡り、必死で米国に染まろうとしている姿が浮かぶではないか。また、少し格好をつけたくなる年齢でもある。日本は忘れなければ、物心がついてしまう年齢で、わざと日本を遠ざけていたのかもしれない。

 それが、今は日本を意識する余裕もできた。「テニスだけのために米国にいる。テニスを終えたら絶対に日本に帰る」と言ってはばからない。基本、日本が大好きだ。「大橋トリオ」の心を癒やす響きは、世界を舞台にしながらも、日本に思いをはせる17年の新たな武器なのかもしれない。

 ◆WOWOW放送予定 全豪オープン。16~29日まで連日生中継。