東京五輪の新競技に決まったスケートボードが、選手や指導者らを対象にアンチドーピング講習会を開催した。

 14、15日の両日、横浜市内で行われたボードカルチャー&ファッション展示会「インタースタイル」内でイベントとして実施したもので、スケートボード界では初の試み。ともに約30人が「ドーピングとは何か」「なぜ、ドーピングが悪いのか」など、初心者向けの講義に耳を傾けた。

 これまでスケートボードの大会でドーピング検査が行われたことはなかった。しかし、五輪競技となればアンチドーピングは重要。国際ローラースポーツ連盟(FIRS)の主催で今夏初めて行われる世界選手権でも、ドーピング検査が導入される見込みだ。初代日本代表監督に決まっている西川隆氏(51)は「選手の意識を変えることが重要。まず、ドーピングについて知ること」と話した。

 選手の意識改革とともに指導者らの意識を変えることも必要。日本ローラースポーツ連盟スケートボード委員の村上仁氏は「例えば水泳ならコーチが選手に教えることができる。スケートボードにはその文化がなかったから、まず指導者、そして親御さんにもドーピングを理解してもらわないと」と説明した。

 若手を中心に世界トップレベルで活躍する選手も出てきた日本だが、いずれも出場は個人の資格。これまで日本代表として大会に参加したことはなく「日の丸を背負う」という感覚もない。4月の全日本選手権で日本代表候補を初めて選出し、日本チームとして初の強化合宿を行うことも決まっている。そこで、技術とともに「日本代表選手としての心構え」なども指導していくことになる。

 熱心に講義を聴いた西村碧莉(15)は「病院でもらった薬もひっかかるとは知りませんでした」と驚きの表情。昨年10月、日本女子として初めて世界最高峰のストリートリーグ最終戦に出場し、5位に入った東京五輪期待の星は「普段から気をつけないといけませんね」と3年後に向けて気持ちを引き締めていた。