女子ショートプログラム(SP)2位の本田真凜(15=大阪・関大中)が、フリー133・26点の合計201・61点で2位にとどまり、日本勢初の連覇を逃した。フリー、合計とも自己ベストを記録したが、14歳のザギトワ(ロシア)がSP、フリーともに1位でジュニア世界歴代最高の合計208・60で初優勝。2・23点差の逆転はならなかった。それでも自身初の200点超えで、18年平昌五輪出場へ自信をつかんだ。

 場内の拍手を全身で受け止め、涙の本田が浜田コーチに抱きついた。7度のジャンプを全て決め、課題のステップも最高評価のレベル4。表現力を示す演技点はトップで、ザギトワ(2度記録)に続く、ジュニア史上2人目となる200点超えを達成した。シニアを含めた今季8位の高得点だった。

 浜田コーチから「(留守番する)妹たちに、憧れのお姉ちゃんと言ってもらえるような演技をしなさい」と送り出され、15歳はシニア顔負けの表現力を披露。「重圧を楽しみながら滑れた。やれることは全て出しきっての結果。技術的にも精神的にも、去年の自分に圧勝できたので悔いはない」。日本勢初の連覇を逃したが、堂々の銀メダルだ。

 「幼稚園の時は『泥団子名人』って言われていたんです」。約10年前。幼稚園の砂場でも、本田のスタイルは健在だった。ままごとではなく、外で遊ぶことが大好きな少女。砂を握りしめると、いつも友達に見えない場所へそっと隠した。「1週間ぐらいかけて作る。砂は上の方の土よりも、中の方がいい」。雨を避け、毎日少しずつ固めていくと「キラッキラの団子ができるんです」。その頃から興味は、理想とする先の結果にあった。

 ジュニア最大の世界大会にピークを合わせた教え子を、浜田コーチは「(完璧な)年に2回ぐらいの演技。当たれば200~210点いく能力は持っている」とたたえた。それでも表彰台の頂上に立つザギトワを見て、本田は「目指していた順位じゃなかったのが、すごく悔しい」という。来季はシニアに上がる予定で「曲名はまだ内緒」としながらも、大人びたSP曲導入を決めている。

 シニアに交じって戦った昨年12月の全日本選手権で、心は変わった。4位の結果に「前まで『五輪は何回もある』と思っていたけれど『あと5年待つのはちょっと遠いな』って強く思った」。くっきりと見える18年平昌五輪。連覇に足りなかった6・99点の差で「オフ中に覚醒したい」という気持ちが芽生えた。本田は堂々と、平昌を目指す。【松本航】

 ◆本田真凜(ほんだ・まりん)2001年(平13)8月21日、京都府生まれ。2歳からフィギュアスケートを始める。全日本選手権は初出場の15年に9位、16年4位。16年世界ジュニア選手権で初出場初優勝。憧れのスケーターは荒川静香。好きな食べ物はかにみそ、しば漬け。家族は両親と姉、兄、妹2人。兄太一(18)三女望結(みゆ=12)四女紗来(さら=9)もスケーター。158センチ。

 ◆出場枠3確保 本田が2位、坂本が3位に入った日本女子は、上位2人の順位合計が条件の「13」以内となり、来季の出場枠も最大「3」を確保した。来年はブルガリアで開催予定。