ラグビートップリーグのヤマハ発動機が17日、磐田市のクラブハウスで報道陣を集め、恒例の「ファーストミーティング」を行い、今季のチーム方針を発表した。昨季はリーグ2位、日本選手権4位に終わり、就任7季目の清宮克幸監督(49)はこれまでのスタイルを突き破り「新ヤマハスタイル」で初王者への道を切り開いていく方針を掲げた。

 清宮監督はホワイトボードに曲線グラフを描き始めた。昨季の好不調の幅を小さく描いたのに対し、今季の予想は大きな幅の曲線で描き、波の大きなシーズンになる見通しを示した。「昨季はヤマハの持つスクラムなどで有利に戦い、安定して最低でも4位に入れる戦い方が出来た。今年はそれを突き抜けて、チャンピオンになる」と決意を口にした。 

 昨季は開幕戦で圧倒的なスクラムを見せ、パナソニックを24-21で破った。13節のサントリー戦に24-41で敗れるまで12連勝し、最終的に14勝1敗でリーグ2位でフィニッシュした。原動力の1つである、どんな場面でも押し続けたスクラム。そしてもう1つが、チームの決まり事を最後までやり切る組織力の高さにあった。しかし今年、清宮監督が求めたのは応用力だ。「これまでは自分たちのシステムが壊れるのを嫌い、チャンスはあったけど踏み込まなかった部分がある。今年はスタイルを超えたところにチャレンジする」と、選手たちに熱く語りかけた。

 これまでヤマハ発動機から代表等に選ばれる選手数は少なかった。15年イングランドW杯では日本代表にCTBマレ・サウ(29)FB五郎丸歩(31=トゥーロン)と、トンガ代表に1人参加したのみ。しかし今春は代表と世界最高峰リーグ「スーパーラグビー」に、10人が参加し、長期間チームを離れている。清宮監督は「10人も違うチームで活動しているのは、今まで経験したことはない。ラグビー界の波がヤマハにも押し寄せているが、新ヤマハスタイルに挑戦し、突き抜けたい」と初優勝に向けて意欲を示した。【大野祥一】