世界9位の錦織圭(27=日清食品)が、九鬼潤と並ぶ7度目の日本男子大会最多出場を、苦しみながらも勝利で飾った。右肩の手術で、15年全米以来の4大大会出場となった世界ランク外のタナシ・コッキナキス(オーストラリア)に4-6、6-1、6-4、6-4で逆転勝ちを収めた。次戦は同74位のシャルディー(フランス)と対戦する。

 練習で絶好調だった錦織が別人のようだった。195センチの長身からたたき込まれる時速200キロを超えるサーブと、強烈なフォアがあるとはいえ、相手はケガ明けで約1年半ぶりの4大大会出場。その相手に気持ちで引いていた。何とか、相手のダブルフォールトと地力の差で逃げ切った。

 この試合こそ、「今、自信が少しないかも」と話していた典型かもしれない。大事なポイントで、ラケットを振り切れずに入れにいく。球が伸びず、浅くなり、相手の強打に押し込まれた。失うものはないと強打する相手に、常に受け身になった。

 勝敗を分けたのは、セットを分け合った第3セットの第5ゲーム。1-3とリードされ、相手のサービスゲームだった。ブレークポイントを錦織が握り、相手がダブルフォールト。ここで追いつき、3-4から3ゲームを連取。第3セットを奪い先行に成功すると、そのまま押し切った。

 錦織のドローの山で、次々とシードが負けている。対戦成績5勝4敗と苦手とし、3回戦で対戦が予想された第27シードのクエリー(米国)が敗退。4回戦最大の壁とみられ、今大会最も注目されたA・ズベレフ(ドイツ)も敗れた。これで、準々決勝までに対戦する相手としては、第22シードのクエバス(ウルグアイ)が最も世界ランクの高い選手だ。

 この日の勝利で、全仏12勝目となった。日本男子としては佐藤次郎(故人)の最多13勝にあと1勝で並ぶ。ドローの先は完全に開けた。自信を復活させ、錦織が快進撃に挑む。【吉松忠弘】

 ◆WOWOW放送予定 31日午後5時55分から。6月1日午前0時から。WOWOWライブ。生中継。男女シングルス2回戦ほか。