柔道男子73キロ級で16年リオデジャネイロ五輪(オリンピック)金メダルの大野将平(26=旭化成)が16日、奈良・天理市の母校天理大で練習を公開した。

 同大学院に籍を置き、昨年は学業を優先してきたが、今年1月に「大外刈り」に関する修士論文を提出。20年東京五輪金メダルを目指し、稽古の密度が上がってきた。

 映像で見守った2月の平昌(ピョンチャン)五輪では、深くうなずく言葉を聞いた。

 「(フィギュアスケートの)羽生くんが言った『五輪の勝ち方を知っている』という言葉。大きな大会に向けてのアプローチだったり、ピークとコンディションの持っていき方を理解している。今、自分自身に欠けているのは『圧倒的』。圧倒的になるには稽古が足りていない。膨大な時間で積み上げるしかない」

 2月のグランドスラム・デュッセルドルフ大会では優勝。ところがこの好成績は「逆の(良い意味の)想定外」だったという。柔道における感覚は「1割もいっていない」と冷静に自己分析し、さらなる稽古の質向上を求めている。

 「(スピードスケートの)小平さんも主将で、羽生選手とは違ったプレッシャーの中で金メダルを獲得した。はたまた連勝記録もあって、それも多分プレッシャーになっていたのは間違いない。それでも確実に金を取ってくる精神力に脱帽ですし、(スノーボードの)平野選手も彼にしか見えない境地がたぶんあるんじゃないかな、っていう印象を僕は受けました。誰もやったことのない技に挑戦する。競技は違えど、ちょっと普通の選手と違った目でみなさんに見ていただきたいし、そういう異次元の選手になっていきたい」

 まず見据えるのは4月7日の全日本選抜体重別選手権(福岡国際センター)。その先に待つ世界選手権(9月、アゼルバイジャン)代表に向けて「もちろん入ることを目指したい。試合ももちろん大事ですが、代表になると合宿が多いですし、いろいろな選手と組み合える。今の自分自身の柔道の感覚を取り戻す、一番の近道」と力強く言い切った。