不正判定疑惑などに揺れる日本ボクシング連盟の理事が、大量辞職する見込みとなった。山根明会長(78)を巡る数々の問題が噴出する中で、岐阜市内で開催中の全国高校総体を担当する理事の中に、辞職の意志を固める動きが広がっている。

 教育者として、選手がこれ以上犠牲になることを避けるため、決断に至ったようだ。今後は体制刷新のために動く声も出始めた。

 山根会長の言動だけが表舞台にあふれる中、組織の決定機関に属する理事たちが動き始めた。先月31日に開会した高校総体。判定、お金、会長個人の理不尽行動など日本連盟に関わる種々様々な疑惑が氾濫し、組織としての統治の欠如が露呈する異常事態にようやく心が固まったようだ。

 ある理事が言う。「この会場に来ている理事は、教育者が多い。選手が目の前で頑張っている姿を見て、責任の重さを感じた」。選手に罪はない。ただ、試合では判定が取りざたされ、競技自体への悪いイメージが広がっている。学生にその悪影響が及んでいる状況を一刻も早く改善しなくてはいけないと決意した。

 今日7日の大会閉幕後にも、辞職届を提出する見込みで、30人の理事のうち10人前後と見られる。現在も他理事への訴えかけは続いており、独裁とも称される山根体制で、大きな意思表示であることは確かだ。

 連盟はこの日、JOC(日本オリンピック委員会)などから求められた第三者委員会の設置を決めた。ただし、同会長は一連の疑惑にも、助成金問題を認めた以外は全否定し、退任の考えがないと公言している。「外圧」に頼らず、内部から変化の兆しが見えれば、東京五輪の参加危機まで懸念される状況の改善につながるだろう。

 辞職意志を固めたある理事は「辞職後も次の理事が決まるまでは職務機能は残る」とし、辞めて終わりではないとした。同会長に辞任意志がない場合、除名できる道筋はある。議決権のある理事と各都道府県代表者で全77票のうち、5分の1以上の議決があれば、会長に対して総会の招集を請求できる。その臨時総会に過半数が参加し、3分の2の票が集まれば除名となる。同理事は「除名までいかず、何とか自分たちで決着をつけたい」とした。

 告発状を作成した「日本ボクシングを再興する会」は8日に会見を予定し、新たな証拠などを提示する見込み。その前についに内部から、行動が起き始める。