ラグビー「リーグワン」1部の東芝ブレイブルーパス東京(BL東京、リーグ2位)NO8リーチ・マイケル(35)が“難敵封じ”を誓った。

8日、都内で上位4チームの主将が集ったプレーオフ前会見に出席。19日の準決勝は東京サントリーサンゴリアス(東京SG、同3位)との「府中ダービー」となり、相手キーマンにW杯2大会をともに戦ったSH流大(31)を指名した。

故障で直近2試合を欠場した流の回復具合はけむに巻かれたが、前身のトップリーグを含めて14季ぶりの優勝へ、対策を怠らない。

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濃紺のスーツにネクタイを締め、リーチがBL東京を代表して決戦へ誓いを立てた。

80年代の関東社会人リーグからBL東京は東芝、東京SGはサントリーの看板を背負い、同じ東京・府中市を拠点にして名勝負を繰り広げてきた。リーチは「府中ダービーが一番楽しい試合」と胸を躍らせ、難敵のキーマンを挙げた。

「警戒するのは流大。彼が出てくるか分からないけれど、キーマンになってくる。良さは視野の広さ。ピッチが全部見えて、誰が走ってくるか、誰に放ったら前に出られるかを全部分かっている。どう対策するかしっかり考えていきます」

日本代表では仲間として、クラブでは敵として特徴を知る。

名を挙げた流は先月19日の静岡ブルーレヴズ戦で負傷。右腕部をサポーターで固定して引き揚げた。以降2戦は欠場し、今月4日のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦後には田中澄憲監督(48)が「あとは時間との勝負」と復帰の見通しを示していた。この日、東京SGを引っ張る主将のフッカー堀越康介(28)は絶妙に場を収めた。

「リーダーシップがすごく、ラグビーIQが高い。いるのといないのとで、大きな違いはあります。ただ、流さんを頼っているわけではない。状態は…ちょっとまだ分からないですね」

今季は2試合の府中ダービーが組まれ、BL東京は2勝を挙げた。先月27日の対戦も加入1季目のW杯ニュージーランド代表SOリッチー・モウンガ(29)が不在ながら、36-27と白星をつかんだ。父の死去で母国に一時帰国していたモウンガは今月5日の静岡戦で復帰し、14勝1分け1敗の2位通過。流の出場可否にかかわらず、地力で上回る準備は進んでいる。

残すは2試合。悲願の優勝は09~10年シーズンから遠ざかる。その喜びを知らない11年入団のリーチは「しっかりと準備しないと負ける。サントリー戦を最後の試合と思って準備する」と引き締めた。意地と意地がぶつかる戦いが、まもなくやってくる。【松本航】

◆府中ダービー 府中市が拠点のBL東京、東京SGの対戦の愛称。22年のリーグワン発足後の対戦成績は3勝3敗の五分。22年は第15節でBL東京に敗れた東京SGが、プレーオフ準決勝で30-24と勝利。決勝に進んで準優勝を飾った。

◆プレーオフのルール 同点の場合は10分間の延長戦を実施。先に得点(トライ、PG、DG)した方が勝利。勝敗が決まらない場合は各チーム5人によるキックコンペディション(22メートルラインより後方の3エリアから両チームが交互にキック)で勝者を決定する。

◆過去2季のプレーオフ

◇22年5月 初代王座を懸けて東京SG、埼玉、東京ベイ、BL東京が進出。埼玉が決勝で東京SGに18-12と競り勝ち、頂点に立った。フッカー堀江翔太が初代MVPに輝いた。

◇23年5月 埼玉、東京ベイ、東京SG、横浜が進出。決勝に初めて進出して勢いに乗る東京ベイが、埼玉を17-15とのみこんで初優勝を飾った。CTB立川理道主将がMVP。横浜が過去最高の3位と躍進。