【ニューヨーク=吉松忠弘】世界19位の大坂なおみ(20=日清食品)が、日本テニス界に新たな歴史を刻んだ。同36位のレシア・ツレンコ(ウクライナ)に6-1、6-1で勝ち、全米の日本女子としては史上初めてベスト4に進出する快挙を達成した。4大大会では1996年(平8)ウィンブルドンの伊達公子以来、22年ぶり5度目。

大坂はスタートからエンジン全開だった。第1セット、パワフルなサーブでツレンコを押し込み、正確なストロークでポイントを積み上げていく。第3ゲームをラブゲームで奪い3-0、最高の出足だった。第4ゲームこそ返されたが、すぐさま取り返しにいく。猛暑の中、ツレンコが苦しげな表情を浮かべるのとは対照的に涼しげな表情でポイントを重ねる。第1セットは6-1と25分ほどで奪ってしまった。

第2セットも第1ゲームをブレイクすると、すかさず第2ゲームもキープ。力強さに正確さ、そして冷静に相手の動きを見極めるクールな頭脳も光った。結局、第2セットも終始ツレンコを圧倒し、一気に押し切った。

伝説の女王S・ウィリアムズの練習相手を8年間務めたバイン・コーチも試合前、初の経験に不安を隠せなかった。「誰もがなおみに期待する。相手はランク下。絶対に勝てるとプレッシャーがかかる」。しかし、そんな心配を吹き飛ばすように、大坂はついに日本女子が誰も到達できなかった4強に進んだ。

ニューヨークは、思い出の街だ。3歳で日本から米国に移住した時、住んだのが、全米の会場のそばだった。会場でテニスをすることもたびたびあった。「思い出がいっぱい詰まっている。大好きな街」。そのニューヨークで、日本女子未到の地に足を踏み入れた。

準決勝では日本女子4大大会史上初の決勝進出をかけ、同14位のマディソン・キーズ(米国)-同24位のカルラ・スアレスナバロ(スペイン)の勝者と対戦する。