<陸上:チューリヒ国際>◇28日◇スイス・チューリヒ

 ベルリンの世界選手権での「記録なし」という予期せぬ結果から約2週間。女子棒高跳びのエレーナ・イシンバエワ(ロシア)は5メートル06の世界新記録で健在ぶりをアピールした。AP通信によると「信じられない。でも今となれば負けて良かった。そうでなければ世界新記録にこれほどハングリーになれなかった」と情熱を新たにした。

 ベルリンで跳べなかった4メートル80を上回る4メートル81を簡単にクリアした。世界選手権覇者のアンナ・ロゴフスカ(ポーランド)が4メートル86を失敗して勝利が決まると、いつもの世界新記録ショーの始まりだった。5メートル06にバーが上がると見事に1回目で成功した。

 頂点に君臨し続けたイシンバエワにとってベルリンでの挫折は競技を見直すきっかけになったという。「ずっとトップにいるとなかなか自分自身のことを分析ができなかった。だから、敗れたことは非常に役に立った」と話す。敗北を勝利への糧に結びつけたイシンバエワ。27歳の女王はまだまだ主役の座を譲る気はなさそうだ。