長い低迷から脱出しつつあるノルディックスキー・ジャンプの船木和喜(フィット)が、久しぶりに海外遠征に出る。バンクーバー冬季五輪出場を目指す長野五輪金メダリストは「うれしさと選ばれた責任を感じて上を目指さないと、という気持ちがある」とかみしめるように話した。

 昨季まで4シーズンもW杯遠征から外れていたことを考えると、驚きの復活といえる。今夏は「1つ失敗したら終わりのがけっぷち。1戦1戦、全開でいく」という思いで、開幕から国内で2連勝した。8月末のグランプリ(GP)白馬大会で4、9位となり、ドイツでのGP最終戦の切符をもぎ取った。

 全日本スキー連盟が定める8人の五輪代表候補とともに、9月1日までの2日間、日本オリンピック委員会(JOC)の健康診断を受けた。現時点で五輪代表5人に入る可能性があると認められた証しだろう。

 葛西紀明(土屋ホーム)と並ぶ日本人最多のW杯通算15勝など経験豊富だが、3季ぶりの遠征に新鮮な気持ちで臨む。前回のトリノ五輪出場を逃すなど不振だった時期にジャンプ人口や観客の減少に心を痛めて、後進の育成や少年ジャンパーの支援も始めた。「僕が回っていない間にいろいろ変わっていると思う。今回は『新人船木』として参加したい」と気持ちを高ぶらせた。(共同)