広島市の秋葉忠利市長は8日記者会見し、20年夏季五輪招致で日本オリンピック委員会(JOC)から認めないと通告された長崎市との共催構想の意義や理念について、国際オリンピック委員会(IOC)側に直接伝えたいとの意向を表明した。

 長崎市の田上富久市長とともに12日、IOC前副会長の猪谷千春委員と会談し協力を要請する。

 秋葉市長は、愛称として「広島・長崎オリンピック」を検討していることも明らかにした。広島市を申請者に、一部競技を長崎で開催する案などを挙げ「さまざまな可能性を含め、働き掛けていきたい。ロゲ会長にもどこかで会えればと思っている」と述べた。

 五輪招致を目指す国内候補都市を1つに絞り込むJOCは昨年末、1都市開催を原則とする五輪憲章に抵触する共催は「推薦できない」と、IOC側に確認した上で両市長に通告していた。

 秋葉市長は「憲章の変更は難しいとの前提で対応する」とした上で「影響力を持つ皆さんにわれわれの考え方を直接伝え、アドバイスをいただくことが必要だ」と強調。

 「広島、長崎の一体感を大事にしながら、被爆地の思いを五輪の現実とどう結び付けていくのか模索したい」と話した。

 また、JOCが10年から11年への繰り延べを検討している国内候補都市の選定に関連し、賛同自治体でつくる招致検討委員会で今春に出す予定だった立候補の最終結論を先延ばしする可能性を示唆した。