<ラグビー:アジア5カ国対抗・日本111-0UAE>◇13日◇ドバイ

 9月開幕のラグビーのW杯に向け、日本代表が上り調子だ。今季初戦となるアジア5カ国対抗で新戦術が形になり始めた。アラブ首長国連邦(UAE)戦は圧勝し、3連勝で4連覇を飾った。

 4月に取り入れた浅めに布陣するライン攻撃が大会3試合目でようやく機能した。今季初先発のSOアレジ(ノッティンガム)が相手の裏を突くキックで防御の出足を止め、パスが回るようになった。代表初キャップのWTB宇薄(東芝)は約70メートルを走りきるなど4トライ。「みんながボールを動かしていたから」と謙遜(けんそん)するが、W杯メンバー争いで前進した。

 序盤の4トライは全て絶対的優位に立ったセットプレーから生まれた。東日本大震災の被災地、福島県出身で1試合限りの主将を務めたロック大野(東芝)もチームをけん引。「福島や日本を勇気づけようと戦ったことで、100点を超える結果を導くことができた」と重責を果たした。

 初戦の香港戦で防御で反則を繰り返し、カザフスタン戦はライン攻撃が機能しなかった。消化不良の面も残っていたが、3試合目で17トライの試合となり、カーワン・ヘッドコーチは「ある程度は満足している。やりたいことができた」と評した。W杯まで残り約4カ月となり、5年目のカーワン態勢は仕上げの時期に入る。