文部科学省が2020年夏季五輪の東京招致で日本の国際発信力を強化するため、国際オリンピック委員会(IOC)の本部があるスイスのローザンヌに初の情報拠点を設置する方針であることが31日、分かった。12年度予算案に約5千万円を盛り込んだ。派遣する人材を2月に公募する。

 東京が落選した16年五輪招致はスポーツ界の外交力の弱さが敗因に挙げられた。猪谷千春、岡野俊一郎の両IOC委員が80歳定年制により11年限りで退任し、日本人委員が不在となる背景もあり、文科省幹部は「強い危機感があり、戦略的に将来のスポーツ界の顔になる人材を送り込む。国際経験豊かな民間人を起用したい」と説明した。

 ローザンヌには各国際競技連盟(IF)の事務所も集まる。五輪招致の票固めでは「情報戦」も重要な課題となり、スポーツ基本法制定の追い風を受け、国際ネットワーク形成を国が本格的に支援する。