<W杯スキー:男子回転>◇第8戦◇24日◇オーストリア・シュラートミング

 アルペンスキーで日本のエースに成長した湯浅直樹(28=スポーツアルペンク)が、自己最高の5位に食い込んだ。全体的に低調な日本アルペン界で、湯浅は2年後のソチ冬季五輪を見据え孤軍奮闘している。

 今季は「内脚から出る雪煙の量が他の人より多い」と自己分析し、ターンで内脚に力が入りすぎる課題の修正に取り組んだ。11位だった第2戦の後は不調に陥ったが、諦めずに努力を続けて復調。今回の好結果で「いい滑りはできてきている」と確かな手応えを得た。

 トリノ五輪で皆川賢太郎(竹村総合設備)が4位、湯浅が7位と大健闘した05~06年シーズンは、W杯でも佐々木明(エムシ)が日本勢過去最高の2位に2度、皆川も自己最高の4位に入った。当時の指導陣は「2人以上が切磋琢磨(せっさたくま)して力を伸ばさないと、アルペン界では戦い抜けない」と話していた。

 今季は佐々木が一度も2回目に進めず、若手も伸び悩む。チームメートからの刺激は少ないが、湯浅は今季回転4勝のマルセル・ヒルシャー(オーストリア)らの滑りを研究して技術向上の糧とする。世界の強豪に「何とか一泡吹かせたい」と本気で挑んでいる。