日本スポーツ仲裁機構は27日、ボート男子のロンドン五輪アジア予選の軽量級ダブルスカル代表最終選考会で補欠になった武田大作選手(38=ダイキ)が結果を不服として日本ボート協会を相手に起こした申し立てを認め、選考結果の取り消しを命じた。方法や過程が著しく合理性を欠くものだったと判断した。

 五輪代表選考に絡む仲裁は3例目で、選手の訴えが認められたのは初めて。松山市で記者会見した武田選手は「ほっとした。間違ったことはしていなかった」と話した。

 日本ボート協会の平岡英介副会長は「予想もしなかった結果だ」と述べ、再レースを含めて緊急に対応を検討する考えを示した。

 五輪4大会に連続出場している武田選手は、昨年11月の最終選考会に参加。候補6人がペアを交代しながら平均タイムの上位2選手を選出する方法で、プレーオフの末に2番手に入った。しかし1レースで極端にタイムが遅い「イレギュラーな事態」があったとして、協会は最下位だった選手と組んだレースを除外し、5人の平均タイムを比べる方法に変更した。このため武田選手は3番手となり補欠に回された。

 仲裁機構の道垣内正人機構長は「著しく不合理な対処法であり、特定選手を除外したことでタイムに有利、不利が生じた」と判断理由を説明した。