<アメリカンフットボール:パールボウル:オービック28-28(延長9-6)富士通>◇決勝◇23日◇東京ドーム

 オービックが2度のタイブレークの末、富士通を下し、2大会ぶり5度目の春の東日本社会人王座に就いた。

 昨年は準決勝で富士通が31-13で勝利していたが、今年はオービックが雪辱した。

 MVPはオービックのWR木下典明(31=立命大)が獲得した。

 富士通(1塁側)

 7・7・7・

 7・3・3=34

 9・0・6・13・3・6=37

 オービック(3塁側)

 【第1クオーター】

 現役Xリーグ選手を父に持つ乃木坂46斎藤ちはるによるコイントス。レシーブを選択したオービックは自陣19ヤードからの攻撃となった。しかし、QB菅原の最初のパスは不成功。続くRB中西のランも1ヤードしかゲインできない。さらに富士通LB青木にQBサックを食らってしまう。

 続く富士通の攻撃は自陣35ヤードから。QBキャメロン自身のランで5ヤード進むと、その後にファーストダウンを獲得した。さらにキャメロンは自らキープして16ヤード前進。そして、敵陣34ヤードから今度は17ヤード進み、エンドゾーンに迫った。しかし、TDパスは不成功。K西村のFGトライもオービックDLビーティ・ジュニアにブロックされ、6分25秒に攻守交代となった。

 するとオービックは6分38秒、いきなりQB菅原からWR木下への81ヤードTDパスが決まる。しかし、K金親のTFPキックは右ポストにはじかれた。

 対する富士通も負けていない。WR宜本潤が34ヤード前進すると、7分48秒、WRゴードンがエンドゾーン左に35ヤードを走り込んで、TDを返した。西村のTFPキックも決まって富士通が逆転した。

 さらに富士通はLB鈴木のパスインターセプトで攻撃権を得たが、ここでオービックLB塚田がQBサック。流れを引き戻した。するとパスを受けたWR木下が左サイドを走ってロングゲイン。さらにQB菅原がスクランブルから30ヤード走り、残り10ヤードに迫る。そして、K金親が同Q終了と同時に20ヤードのFGを成功させ、9-7とオービックが逆転に成功した。

 【第2クオーター】

 富士通の攻撃は自陣30ヤードから。RB高野橋のランで前進したが、QBキャメロンのパスがカットされ、ファーストダウンを獲得できない。対するオービックもQB菅原がパスで前進したものの、攻撃が続かない。

 すると富士通はキャメロンがキープしてファーストダウンを獲得。しかし、次のパスが不成功で、こちらも攻撃が続かない。

 ここで富士通P吉田が、敵陣2ヤードでボールが止まる絶妙のパントを決める。オービックは攻撃方法に窮し、QB龍村が6分34秒、富士通DB石井に15ヤードのパスインターセプトTDを食らってしまう。富士通はディレーオブゲームの反則で罰退も、K西村が落ち着いてTFPキックを決め、14-9と再逆転。試合はシーソーゲームの様相となった。

 その後、オービックは龍村がロングパスを決めて意地を見せる。ここでオービックに痛恨のスナップミスかと思われたが、富士通がフェースマスクの反則。逆に敵陣26ヤードに迫る。そこでQB菅原からWR池井へのパスが決まったかに見えたが、今度はオービックが反則で15ヤードの罰退。その後、オービックK長尾のFGトライは不成功に終わった。

 しかし、オービックは相手に流れを与えない。DLビーティー・ジュニアが富士通キャメロンへのQBサックを決め、後半に結び付けた。

 【ハーフタイム】

 昨年に続いて登場の乃木坂46が、東日本Xリーグチアリーダー120人と競演した。ヒット曲「ロマンスのスタート」、7月9日発売の新曲「夏のFree&Easy」を聞かせた。

 【第3クオーター】

 富士通RB金のリターンで試合再開。自陣25ヤードからの攻撃となった。5ヤード前進するも、ファーストダウンは獲得できない。

 続くオービックは自陣42ヤードからの攻撃。新人QB畑が登場し、WR萩山へのロングパスなどで大きく前進した。しかし、第4ダウンギャンブルが失敗となり、富士通の自陣15ヤードからの攻撃に代わる。するとRBゴードンが走ってファーストダウンを獲得するが、次の攻撃でRB高野橋がファンブル。オービックは攻撃権を得ると、その直後の5分24秒、またもWR木下がTDを決め、逆転に成功した。しかし、2ポイントを狙った畑のパスは不成功に終わった。

 次の富士通の攻撃をしのいだオービックは、QB畑が自ら連続キープして走る。反則で罰退となったが、RB古谷へのパスでファーストダウンを獲得した。しかし、オービックはまたもや反則で後退させられてしまう。

 代わった富士通の攻撃はQBキャメロンのパス。WR中村、強へ連続でヒットさせ、ゴールまで2ヤードに迫る。すると、11分33秒、RBゴードンがエンドゾーン中央に飛び込み、再び逆転となった。K西村のTFPも成功し、富士通が21-15とした。

 反撃を期すオービックはRB中西がランでインサイドをつく。さらにRB古谷が走って敵陣25ヤードまで大きく前進した。しかしその後のQB畑のキープでは前進できず、代わったQB菅原がWR池井へのパスでファーストダウンを獲得した。

 【第4クオーター】

 敵陣10ヤードからオービックはRB原が走るもノーゲイン。するとQB菅原がWR池井へのパスを決め、残り2ヤードに迫った。そして、1分32秒、萩山へのTDパスで同点。K長尾のTFPキックで1点リードを奪った。

 再び追う展開となった富士通。ファーストダウンを1度奪うと、相手反則でダウンを更新した。しかし、オービックDLジャクソンにQBサックを決められてしまう。それでも、勝利に執念を燃やす富士通は、QBキャメロンがWR秋山へのパス、自らのキープで敵陣19ヤードまで前進。さらに小刻みなパスで敵陣10ヤードまで進む。すると6分9秒、エンドゾーン右に走り込んだWR強へキャメロンのTDパスが決まった。富士通はK西村がTFPキックを確実に決め、28-22と6点リードを奪った。

 対するオービックは、菅原のスクランブルで6ヤード進んだ。しかし、富士通DB田中にその後の前進を阻まれてしまう。

 再び攻撃権を得た富士通は、自陣17ヤードからRBゴードンが13ヤード走ってファーストダウンを獲得したが、オービックDB栗田にパスインターセプトされてしまう。

 互いにディフェンス陣が踏ん張り、勝負に行方は予断を許さない展開。ここでオービックはベテランRB古谷が走る。一方、富士通はDL古木が鮮やかなタックルを決める。オービックは第4ダウンに、QB菅原がキープランでファーストダウンを狙ったが、惜しくも届かない。

 そして、残り4分を切って、富士通はWR強へのパスで前進した。ここでオービックはDLビーティー・ジュニアが危険な反則行為で退場。しかし、オービックは憶することなく、DB砂川らが富士通の前進を阻んだ。

 残り2分を切り、オービックはQB菅原が連続キープ。9ヤード進んで、2ヤードロスの後、第4ダウンギャンブル、WR木下へのパスを成功させた。さらに、木下へのパスが決まり、敵陣27ヤードまで迫る。しかし、次の池井へのパスは不成功。残り56秒でRB原へのパスが決まり、さらに前進した、

 残り48秒でボールは敵陣13ヤード。最後は残り試合時間0秒、菅原からのRB古谷へ19ヤードTDパスが決まった。

 ところが、TD後の反則でTFPは15ヤード罰退地点に遠ざかる。するとK金親のキックがポスト左に外れた。

 【タイブレーク1回戦】

 敵陣25ヤード地点からそれぞれ攻撃を行うタイブレークシステム。先攻はオービックで、QB菅原はWR萩山へのパスなどで残り1ヤードまで迫った。そこで富士通ディフェンスが踏ん張る。オービックは18ヤードのFGを選択し、K金親が3点をマークした。

 後攻の富士通はQBキャメロンからWR宜本潤へのTDパスを狙うが決まらない。しかし、K西村が39ヤードのFGを決め、2回戦につなげた。

 【タイブレーク2回戦】

 今度は富士通が先攻。QBキャメロンのパス、RB高野橋のランでは前進できず、キャメロンからWR中村へのTDパスも不成功に終わった。しかし、ここでまた、K西村が43ヤードのFGを成功させた。

 裏のオービックはQB菅原がランプレーを選択。望月、古谷が走り、残り11ヤードまで進んだ。そこで菅原がスクランブル。残り8ヤードまで進むと、最後は自らエンドゾーンに走り込んでTD、熱戦に終止符を打った。