<フィギュアスケート:グランプリファイナル>◇第2日◇12日◇スペイン・バルセロナ

 2連覇を目指す羽生結弦(20=ANA)が今季世界最高の94・08点で首位に立った。表現力を示す演技点はトップ。ショパンのピアノ曲「バラード第1番」で滑るSPは「表現の幅を広げたい」と新境地を開くプログラムだ。

 ソチ冬季五輪を制した昨季は激しいギターの音色で観客の手拍子を誘う「パリの散歩道」で、ワイルドさを演出した振り付けだった。ボーカル入りの音楽が解禁された今季、羽生はあえてクラシック音楽を選んだ。「物語がないからこそ、それを伝えるのがすごく難しい。進化したかった」とその狙いを解説した。

 振付師はジェフリー・バトルさん。「選手時代からすごく独特な雰囲気を持っていた」という元世界王者にピアノ音楽を指定して依頼した。激突事故もあった今季、ここまでは表現面まで気が行き届かなかったが、今大会は「久しぶりに音楽を体で感じて楽しく滑れた」と復調を実感する。

 選手はシーズンを通して同じ演目を滑りながら、完成度を高めていく。五輪王者は年明けの後半戦もにらみ、表現力に磨きを掛ける。