柔道男子100キロ超級の井上康生(29=綜合警備保障)が、奇跡の北京五輪代表へとっておきの「応援歌」で自らを奮い立たせる。3月31日、神奈川・平塚市内の母校東海大で練習を公開。残る国内選考2大会のうち最初の全日本選抜体重別選手権(4月5~6日、福岡国際センター)で、試合前にTUBEの「傷だらけのhero」を自分のテーマソングとして聴くことを明かした。五輪代表争いは絶望的な状況だが、最後まで高い志で五輪に挑む。

 奇跡の逆転での北京五輪代表入りへ、絶対に負けられない男が最高の「応援歌」を選んだ。井上は全日本選抜体重別で試合前に聴く曲について「今回は好きな曲が2曲。TUBEさんの『傷だらけのhero』と、湘南乃風さんの『黄金魂』です」と明かした。

 特に人一倍思い入れがあるのが「傷だらけのhero」だ。今年に入り、親交の深い大相撲の栃東親方にTUBEのボーカル前田亘輝を紹介され「カラオケで生で歌ってもらった。すごく良かった」。栃東親方の断髪式で前田が熱唱したことでも有名な名曲だ。

 ボロボロになろうとも、打ちのめされても、夢をあきらめない-という逆境を乗り越えようとする強い思いが込められた楽曲。五輪代表入りは絶望的だが「あきらめるのは簡単だったけど、最後まで戦いたい気持ちでやっている」という井上にはピッタリの内容だ。

 3月2日の関東選手権優勝後は、内またを優先せずに前に出てペースを握ることを重視した練習を続けてきた。体重もベストの108キロを維持し、この日の練習もハードな内容で連絡技などをチェック。「順調です。(大会まで)1週間あるので、あとは仕上げるだけ」と笑顔で話した。

 前田からは「あきらめるな」というエールを送られたという。逆転五輪代表へは、全日本選抜体重別と4月29日の全日本選手権での2連勝が「最低条件」。「北京五輪というのもありますし、自分の柔道を出して優勝を目指し頑張りたい」。すべてを追い風に変えて、奇跡へつなげる。【菅家大輔】