<陸上:全国高校総体>◇29日◇初日◇埼玉・熊谷スポーツ文化公園陸上競技場

 男子400メートル決勝で佐藤慧太郎(青森北3年)が、今季高校最高の46秒86で連覇を達成した。同種目連覇は、北京五輪代表の金丸祐三(法大3年)が05年に達成して以来、3年ぶり4人目の快挙。金丸の持つ大会記録に0秒68差まで迫った佐藤は、4年後の12年に五輪が開催される「ロンドンの星」に名乗りを上げた。

 佐藤が大会初日の男子最初の決勝種目で、勝ちどきを上げた。他選手のフライングにも集中力を切らさず、6レーンからスタート。レース前まで今季高校ランク1位だった5レーン浦野晃弘(広島皆実3年)に最終コーナーで先行されたが、ひるむことなくホーム直線で抜き返した。ゴール後は天を仰いで「ウォー」と雄たけび。「去年よりプレッシャーがあり不安もあったので、かなりうれしい」と笑顔を見せた。

 ダークホースから全国制覇した昨夏と違い「本命」として臨んだ今大会。春先にかけて両足の関節痛などで苦しんだが、大一番で勝負強さを発揮した。「駆け引きが好き」と1年秋から始めた400メートル。昨夏決勝は竜巻で再レースになった波乱を制したが、この日も「決勝になって向かい風が吹いてきたので『いけるな』と思った。(フライングも)ほかの選手が慎重になると思った」と強心臓かつ勝負師ぶりを見せつけた。

 「ラストは根性です」というほど後半勝負に無類の強さを発揮する。今秋の国体では2年連続2冠の期待がかかる。来春大学進学予定の佐藤は「もっと高いところを目指したい。46秒を切って(将来は)日本代表のアンカーを任されるような選手になりたい」と大きな夢を広げた。【佐々木雄高】