<卓球:全国高校総体>◇最終日◇7日◇埼玉・春日部市総合体育館

 男子シングルスで松平健太(青森山田2年)が優勝し、個人戦では高校初の全国タイトルを獲得した。ベスト4を青森山田勢が独占する中、決勝で上田仁(2年)を4-0のストレートで下した。世界ジュニア優勝などの大器だが、昨年末に手首を手術。試合から遠ざかっていた“ロンドンの星”が、見事に復活した。

 松平が珍しく雄たけびを上げ、ガッツポーズを繰り出した。僚友で今年の全日本ジュニア優勝の上田に、容赦なく襲いかかり4-0の完勝だ。昨年は、やはり青森山田勢同士の決勝で北京五輪代表の水谷隼(19=明大)に1-4で敗北。ついに王者に就いた。

 「うれしい、というより自信がついた」。試合後、笑みがこぼれた。右手首の骨が軟骨にぶつかる症状で昨年12月に手術。今年3月末に練習復帰し、5月末のポーランド・ジュニアサーキットで試合に復帰した。試合勘が戻らず、今大会は団体戦のシングルスで1敗するなど、不安な滑り出しだった。

 だが1戦ごとに本来の調子を取り戻した。13日にはドイツへ出発。プロのブンデスリーガで1年間、活動する。一昨年の世界ジュニア選手権優勝などで、海外からも注目される逸材。吉田安夫監督(75)は「彼は特に中国勢に強く、警戒されている」という。

 今日開幕の北京五輪では先輩の水谷、福原がいよいよ出陣する。「メダルを取ってほしい。4年後のロンドンでは、自分がメダルを取りたい」ときっぱり。来年の世界選手権(横浜)に向けても、大器の明るい再スタートとなった。【北村宏平】