北京五輪で銅メダルを獲得した男子400メートルリレーのメンバーが、「お宝バトン」をめぐってバトルを繰り広げる?

 日本陸連は12日、スーパー陸上(23日、等々力)の出場選手を発表。リレーメンバー4人は、100メートルでガチンコ勝負に挑む。引退レースになる朝原宣治(36=大阪ガス)は、勝者がバトンを獲得する妙案に色気を見せた。

 銅メダル獲得に興奮し、朝原が宙に投げたバトンが返ってくる。スーパー陸上の記者会見後、朝原は「もうすぐ見つかるかも、届くかもという風のうわさを聞きました」と漏らした。所有者は誰になるのか?

 「どっかに(寄贈して)飾るか。ジャンケンで決めましょうか(笑い)」。レースの勝者がもらえばいいのでは?

 「それいいですね。バトンをかけて…」。

 あのバトンは一時、行方不明になったが、日本陸連関係者が中国側に、写真を添付して「捜索」を依頼。チームによってバトンの色が微妙に違い、大会役員が回収したこともあり、現物にたどり着く可能性が高いという。順調にいけば、スーパー陸上に間に合う見込みだ。

 こんな事情もあり、朝原の引退レースは、バトン争奪戦になるムードが高まった。スーパー陸上の100メートルは、朝原に加え、塚原、末続、高平のメンバー4人が出場する。塚原は五輪直後から必勝宣言をしており、朝原も「勝つのは、僕で間違いないと思う。一緒に戦ってきた仲間だけど、試合の時はライバル」と対抗意識を表した。

 朝原は、13日からラストランのための極秘合宿に入る。行き先は公表せずに約1週間、練習だけに集中する。五輪後、表彰が相次ぐ中、練習時間は確保してきたが、さらにレベルアップをはかる。「23日にスッキリ走れないと後悔すると思う。できるだけ万全の状態で臨みたいと思っています」。約1カ月ぶりにバトンとも再会へ。最後の100メートルは、モチベーションに事欠かない。【佐々木一郎】