<全国高校駅伝:宮城県大会>◇18日◇宮城県亘理町、山元町・公認亘理マラソンコース◇男子7区間(42・195キロ)女子5区間(21・0975キロ)

 仙台育英がアベック17連覇を達成し、今春から指揮する同校OB清野純一監督(24)の駅伝初采配に花を添えた。男子は、昨年の全国優勝メンバー2人を体調不良で欠く中、1区上野渉主将(3年)が独走態勢を築き、2時間6分10秒で完勝した。昨年全国3位の女子は、3区広瀬葉主将(3年)で逆転。後続の1年生2人もその差を広げ、1時間12分34秒で「都大路切符」を死守した。

 仙台育英の男女チームが「清野新体制」の下、連覇の伝統を守った。男子で過去6度の全国制覇など、数々の足跡を残した渡辺高夫総監督(61)が、14日に退任。だが選手たちは、チームスローガンの「至誠力走」を胸に、少なからぬ不安をぬぐい去った。

 その渡辺前総監督は男子7キロ地点で人知れず応援。「上体を使って前傾で走れ」とアドバイスされた上野は、29分40秒の区間賞で主将の重責を果たした。清野監督は「渡辺先生の性格を考えれば、ゴールには来られないと思います。(定年後)総監督として支えてくれたおかげです」と感謝を込めた。

 2位以下に5分1秒差の圧勝も、チーム状況は万全ではなかった。全国高校総体5000メートル王者のケニア人留学生ポール・クイラ(3年)と山野友也(2年)が体調不良で欠場。選手たちは国体出場を回避してコンディションづくりに専念してきた。その国体の少年男子A1万メートルでは、青森山田のエース田村優宝(2年)が今季日本人高校ランク1位となる29分1秒66の大会新で優勝。だが上野主将は「出ていれば互角に戦えたと思いますが、チーム優先ですから」と動じない。

 今年から留学生の1区起用ができなくなり、2年連続で1区予定の上野は、報道陣の監督胴上げの要請に「全国優勝した時に」と断った。全国では昨年“同タイム着差あり”で破った佐久長聖(長野)が最大のライバルになる。上野は「自分たちの力を出せば結果はついてくると思う」と自身3年連続になる都大路を見据えた。【佐々木雄高】