お騒がせして申し訳ありません…。卓球の日本女子代表の福原愛(20=ANA)が、初ロマンス騒動に、戸惑い、謝った。2日、プロツアーの欧州遠征から帰国。成田空港には約60人の報道陣が詰めかけた。写真週刊誌「フライデー」(講談社)でデートが報じられた、日本男子テニス界のエース錦織圭(18=ソニー)との交際について、「お騒がせして申し訳ありません」などと2度繰り返したが、交際は否定しなかった。日本最強の「混合ダブルス」からさらに目が離せなくなった。

 怒号のような質問攻勢に成田空港が騒然となった。他の乗客がすべて降りた後、福原は最後に飛行機から降りてきた。会見を拒否した主役に、質問の嵐が直撃した。「錦織選手とはどういう関係なんですか」「順調ですか」「錦織選手とのラリーは続いていますか」。福原は両脇を係員にガードされ、みけんにしわを寄せながら無言で到着口に向かった。あまりの沈黙ぶりに「ニーハオ」と声を掛ける報道陣も。唯一「今月は錦織選手の誕生日(29日)ですが」という質問にだけは、思わずニコッとほおを緩めた。順調な交際をうかがわせる瞬間だった。

 到着口まで約60人の報道陣に走って追われる大混乱になった。途中、1度振り返り「このたびはお騒がせしてしまい、申し訳ありませんでした。これからは競技で活躍できるよう頑張っていきたいと思います」と2度頭を下げた。その後、混乱を避けるために一般客とは別の出口に現れる厳戒態勢が敷かれた。国内外の大物スポーツ選手、芸能人の帰国、来日の際に開放される特別口には、報道陣と一般客合わせて約200人が出迎えた。日本卓球協会関係者は「世界選手権後に報道陣30~40人から出迎えられたことはあったけど、これだけ多いのは初めて」と話した。

 到着口からの去り際にもう1度頭を下げながら、同じ謝罪の言葉を発した。さらに「こんなところまで来ていただき、ありがとうございました」と付け加えた。福原が謝る必要は何もなかったが、初ロマンスの大騒動にどう対応してよいか分からなかった。そこが初々しかった。ただ最後まで錦織との交際を否定することはなかった。

 00年に交際が報じられた西武松坂投手と日本テレビ柴田アナ(ともに当時)ら、交際が順調な時ほど「お騒がせして-」という決まり文句が出るのが日本のスポーツ、芸能界だ。福原の父武彦さんは、錦織とのキス写真がフライデーに掲載された後「あちらに迷惑をかけることだけはしたくない」と、女性は男性を立てた方が良いとの持論を語った。この日、福原が無言を貫いたのも、錦織に余計な雑音を与えてはいけない、と気遣ったとも考えられる。

 11月7日の原宿デート後も、福原は欧州遠征2大会で成績が落ち込むことはなかった。一方、錦織は1月の全豪オープンを目指して拠点の米国で練習に集中している。約1カ月前、福原は結婚について「家庭に入るのも、バリバリ働くのも両方いい。自分がどうなるか分からないけど、結婚へのあこがれはある」と話していた。

 北京五輪の選手村から始まった愛のラリー。今後、当面はメールや電話を通じて“チームワーク”を高めることになる。その先にどんなゴールが待っているのか、誰よりも楽しみにしているのは、若い2人なのかもしれない。【高田文太】