<バスケットボール全日本総合選手権:レラカムイ北海道81-76青学大>◇3日目◇3日◇東京体育館◇男女3回戦

 レラカムイ北海道が学生相手に大苦戦を強いられた。青学大に81-76と、わずか5点差での辛勝。第1クオーター(Q)19-20とリードを許し、第4Q残り5分でも68-69と“互角”の戦いを演じるなど、あわや「金星」を献上するかという赤っ恥の内容だった。フリースロー決定率も38・1%(21本中8本)で相手を下回るなど、ハートの弱さを露呈。4日のパナソニック(日本リーグ)との準々決勝へ、不安を残した。

 プライドを打ち砕かれるような辛勝だった。試合後のファンの大きな拍手は北海道へではなく、青山学院大に向けたものだった。わずか5点差。北海道の選手はうつむいてベンチに引き揚げた。東野監督が下を向く選手をせかし、ファンへあいさつに向かわせたが、スタンドに手を差し出す選手はわずか。東野監督は「試練を与えてくれますね。実力はまだまだない。難しいゲームだった」と振り返った。

 冷や冷やだった。第1Qを終え、19-20とまさかのリードを許す厳しい展開。ズルズルと嫌な流れを引きずったが、第3Q序盤に最多14点差をつけた。だが、試合を決めるまでの勢いがない。第4Qの残り5分で68-69と逆転された。最後は意地を見せたが、桜井は「点差をつけて勝たないといけなかった。恥ずかしいゲームをしてしまった」とうなだれた。

 試合が仕事のプロ集団でありながら、精神面のコントロールができていない。健闘する大学生を後押しする会場の雰囲気に飲まれるように、フリースローの決定率は相手の55・6%を大きく下回る38・1%。東野監督は「完全に気持ちの問題」と言う。スリーポイント決定率も相手より約6%低い29・2%。ゴールに向かうインサイド攻撃に固定しすぎ、メリハリがない。しかも選手が消極的になり、フリーなのにスリーポイントを狙わない場面も目立った。

 精神面の脆弱さは、リーグ戦から改善されていない。前半戦を終え、6勝16敗の最下位。基本的な声出しさえ少なく、東野監督の声が1番大きく響くのが現状だ。若手で流れを変えられるムードメーカー的な存在はおらず、ベテランの折茂に頼りっぱなし。東野監督は「若い選手が出てこないといけない」と自覚を促した。2年連続のベスト8こそこそ決めたものの、喜ぶことができない1戦となった。【長島一浩】