【リベレツ(チェコ)27日=松末守司】求む、スポンサー!

 26日のノルディックスキーの世界選手権複合団体で、95年大会以来7大会ぶりに金メダルを獲得した複合の日本代表が、スポンサーを急募する。1月から支援を受けている企業との契約は3月いっぱいで切れ、4月からはスポンサーなく、このままでは夏場の合宿が組めない。来年のバンクーバー五輪の金メダル獲得に向けて、欧州のライバル国に対抗するため、スポンサー探しに本腰を入れる。

 1年後に迫ったバンクーバー五輪に向けて、この金メダルの勢いを持続したい-。日本代表に帯同する全日本スキー連盟の成田収平複合部長は「今、日本を元気にできるのはスポーツくらい。五輪に向けて、力を貸してほしい」と話し、距離のアンカーを務めた小林は「世界と比べたら僕らの環境は決して良くない。メダルが少しでもアピールになれば」と、スポンサー獲得への切実な思いを明かした。

 複合の日本代表は今年1月から、世界選手権の開催地リベレツに工場のある自動車部品メーカーのデンソーから、期間限定のスポンサーとして支援を受けている。しかし、それも3月いっぱい。この不況の中、支援を約束してくれる企業はなく、現状では4月からはスポンサーがなくなる。

 ノルディックスキーが盛んな欧州ではチームにも、選手個人にスポンサーが多数つく。年間億単位の強化費を使い、夏場も雪のある場所を求めて移動し、強化を図っている。日本の場合は、連盟が配分する強化費はジュニア世代の分を含めて3500~4000万円程度。雪を求めて欧州を移動するのは難しく、昨年夏の海外合宿はオーストリアで行った3週間だけ。成田部長は「他国の関係者が日本のスーツにスポンサーのロゴが入っていないのを見るとびっくりする。合宿も思うように組めなく厳しい」と、苦しい台所事情を明かした。

 エース荻原健司氏を擁した90年代、世界選手権、五輪で4大会連続金メダルをとった栄光は今は昔。その後の低迷で注目度も下がり、強化費も長野五輪前後のピーク時から半分近くに減っている。06年トリノ五輪前に有力選手がスキー板に「スポンサー募集」のステッカーを張って活動したが、効果は薄かった。

 「複合ニッポン」の復活を強く印象づけたが、五輪に向けて欧州は目の色を変えて強化してくるだけに、強化費の捻出(ねんしゅつ)が急がれる。小林は「複合は低予算でやっていたが、サポートも増えるのでは」と期待していた。