<レスリング:全日本選抜選手権>◇21日◇代々木第2体育館

 男子フリー55キロ級で湯元進一(24=自衛隊)が昨年12月の全日本選手権に続いて優勝し、世界選手権(9月、デンマーク)初出場を決めた。双子の兄健一は昨年の北京五輪同60キロ級の銅メダリスト。兄は1月に手術を受けた腰の回復が遅れて欠場したが、今年の世界舞台での活躍は弟が受け継ぐ。

 進一は絶体絶命の状況をはね返した。同点のまま第3Pを終え、延長戦の抽選で相手に有利な体勢を譲った。一気に場外寸前まで押し込まれ、決勝ポイントを奪われかけたが、踏ん張って逆に相手を場外に投げ出した。初の世界選手権出場を決め「ロンドン五輪に向けて世界選手権を目標にしていた。第1歩が踏み出せた」と笑顔をみせた。

 出場を逃した昨年の北京五輪は、会場で兄健一に声援を送った。銅メダルの瞬間を目撃し「目に焼きついた」。五輪後は街中で兄に間違われ、悔しい思いをした。「健一の弟ではなく(健一を)進一の兄と呼ばせるようにしたい」という思いを胸に戦った。弟の活躍を見守った健一は「湯元は僕だけじゃないことを証明してくれた。有言実行です。世界選手権で金メダルも取れる」と太鼓判を押す。3年後のロンドン五輪には湯元ツインズとして乗り込むつもりだ。