<陸上:札幌国際ハーフマラソン>◇5日◇札幌市円山競技場発着の21・0975キロ

 世界選手権女子マラソン代表の渋井陽子(30=三井住友海上)が、調整遅れを露呈した。走りにキレを欠き、自己ワーストの1時間14分9秒で23位。4月中旬に左足付け根などを痛めた影響で、足に力が入らないという。同走した世界選手権代表2人にも先着を許すなど、8月23日の本番まで48日間での立て直しを迫られることになった。世界選手権長距離代表の中村友梨香(23=天満屋)が、1時間9分20秒で優勝した。

 レース後の記者会見場で、司会者が入手したばかりの正式記録を発表しようとした。すると渋井は「いいですよ~。テストの点数を言われるみたい」と顔を赤くし、机に突っ伏した。1時間14分9秒、23位-。「いいんです。(本番は)8月です。でも、ちょっとショックを受けちゃった。頑張ります」と明るく言って、引き揚げた。

 日本歴代2位の2時間19分41秒が自己ベストの渋井にとって、今回はマラソンのハーフ通過より遅い。4月中旬に左足付け根や臀部(でんぶ)の辺りを痛め、まだ万全でない。この日、痛みはなかったが「まだ力の入れどころが分からない。力が入らず、ふにゃっとした感じ。本調子ではありません」と説明した。

 ベスト体重より約3キロ重く、世界選手権まで課題は多い。渡辺監督は「練習だと思えば、改善点をはっきりさせることで、次に向かっていける」と前向きに話した。渋井も「そこまで焦っていない。8月23日にピークをもっていくために、できる限りのことをやっていきたい」と言った。体が元に戻るきっかけさえつかめば、本来の身体能力の高さで補える。あと48日間が勝負になる。【佐々木一郎】