<全国高校柔道静岡県大会個人戦>◇16日◇藤枝・県武道館◇男女5階級

 柔よく剛を制す。男子無差別級で加藤学園の南口優太(2年)が初優勝した。体重68キロと同級では最も小柄だが、決勝では体重が約2倍の相手を果敢に攻め立てて判定2-1で勝利。中学時代を含めて、初めての県制覇。創部7年目で同校男子柔道部から初の全国大会出場の「W快挙」を達成した。男女ともに、各級優勝者が全国高校柔道選手権(3月20日開幕、東京・日本武道館)に出場する。

 「小さな巨人」だ。一本背負いで攻めるとすっぽり隠れてしまうほど体格差があった。決勝を戦った市沼津・村山の体重は130キロ。68キロの南口とは62キロも差がある。それでも、攻め続けた。延長戦でもポイントは奪えなかったが、判定で勝った。東部地区予選決勝で敗れた因縁の村山にリベンジして、自身初の全国切符を手にした。畳を降りて、岡本謙治監督(32)に抱擁されると、思わず涙がこぼれ落ちた。「やるからには優勝したかった。うれしい」と喜びをかみしめた。

 今大会は得意とする66キロ級がないこともあったが「団体戦で大きい選手と当たる訳ですから」と無差別級に挑戦。それでも、初戦となった2回戦から決勝まで全4試合とも、100キロ超の相手を、延長戦まで持ち込む「スタミナ勝負」でものにした。東部地区決勝では、相手と組まず、消極的姿勢ととられて判定負け。この日は、4試合で計24分間、攻めの姿勢を崩すことはなかった。岡本監督は「持久力は本当にすごい選手。勝ちに徹した柔道をしてくれた」と目を細めた。

 新チーム結成後に主将を任され、自らの行動でチームを引っ張ってきた。週2回行う約5キロのランニングでも、常に先頭を走る。

 23日には団体戦が行われる。「1試合1試合大事に戦いたい。優勝して団体でも全国に出たいです。頑張ります」。南口のその先に、全国の畳が待っている。【神谷亮磨】