<高校総体:柔道>◇11日◇沖縄県立奥武山総合運動場武道館◇女子48キロ級決勝

 柔道女子48キロ級で、比叡山(滋賀)・遠藤宏美(3年)が初優勝した。女子柔道界を長期間リードしてきた谷亮子(34)の後継者と目される逸材。2回戦から決勝まではすべて1本勝ちで圧勝し、昨年の世界ジュニア選手権準優勝の実力を見せつけた。堂々と五輪での優勝を目標に掲げ、谷とは同階級。今後は12年のロンドン五輪出場権をかけた戦いにも注目だ。

 「ヤワラちゃん」の後継者となる遠藤が、念願のインターハイタイトルを手にした。国内で全日本ジュニア体重別選手権2連覇。海外では昨年の世界ジュニア選手権2位の輝かしい実績を持ち、これまで谷亮子が引っ張ってきた48キロ級の若手成長株。金メダルを首にかけた遠藤は「(優勝を)取るのと取らないのでは全然違う。ちゃんと勝って、やっと認めてもらえる」とニコリ笑った。

 谷と似たタイプで、多彩な攻めができる。6試合で5つの技を披露した。初戦を3-0の判定で切り抜けると、2回戦から決勝まで圧巻のすべて1本勝ち。縦四方固め、背負い投げ、小外掛け、大内刈りと、立ち技、寝技のバリエーションは豊富だった。決勝では昨年3位の横須賀学院(神奈川)・臼井茜(3年)との激しい組み手争いから一瞬のすきをついて小内刈りを仕掛け、背中を畳に押しつけて1本を取った。「プレッシャーは感じていなかったし、勝つ自信はあった。日本人はちゃんと組んでくれるから、技がかけやすかった」と、国際経験の差を強調した。

 すでに五輪出場を視野に入れ、柔道界を背負う自覚はできている。現在、高校生で唯一シニア強化指定選手。今年6月の東アジア選手権は優勝を飾った。「どんな会場でも、応援がなくても、気持ちを強く持てるようになった」と手応えをつかんだ。12年ロンドン五輪で代表になるには、谷ら日本のトップを越えなければならない。谷に対し「尊敬しています。私はまだまだ」と謙遜(けんそん)したが、「目標はオリンピックで優勝すること。ロンドンも狙っていく」と宣言。もうヤワラの背中は見えているようだった。【保坂恭子】