<ラグビーW杯:日本23-23カナダ>◇27日◇1次リーグA組◇ネーピア

 日本代表の新指揮官に、03年W杯でオーストラリア代表を準優勝に導いたエディー・ジョーンズ氏(51=現サントリーGM兼監督)が就任する可能性が27日、高まった。20年ぶりのW杯勝利を狙った1次リーグ最終節カナダ戦は、終了間際に追いつかれ引き分け。2勝を目標にしながら、1分け3敗のA組最下位で全日程を終えた。日本協会太田治GM(46)は自身と、ジョン・カーワン・ヘッドコーチ(46)の退任を示唆。自国開催の19年W杯に向け、日本ラグビー界は世界的名将の手腕に託す。

 自国開催となる8年後のW杯に向け、日本が改革に乗り出す。世界的名将のエディー・ジョーンズ氏が、カーワン・ヘッドコーチ(HC)の後任として指揮を執る可能性が高いことが分かった。ジョーンズ氏は03年大会でオーストラリア代表を率い準優勝、07年大会も南アフリカ代表の技術アドバイザーとして優勝に導いた実績を持つ。今後は協会理事らで構成される「世界8強進出会議」の意見を参考に、正式決定する。

 この日のカナダ戦は、カーワン体制の最後の試合になった。リードする展開に持ち込みながら残り7分で8点差を追いつかれ痛恨の引き分け。目標の2勝どころか、91年大会以来20年ぶりのW杯勝利も実現できず1分け3敗の惨敗だった。太田GMは「責任を感じている。指導体制を見直さざるをえない」と語り、自身の退任と、12月末で任期満了となるカーワンHCら首脳陣とも契約延長をしない考えを明かした。同HCは「日本で素晴らしい時間を過ごすことができた」と話した。

 関係者によると、日本人の妻を持つジョーンズ氏は、日本代表の指揮を執ることに前向きだという。東海大のコーチを務めた経歴もあり、日本人の特性を熟知している。現在はサントリーのGM兼HCを務めており、来月下旬に開幕するトップリーグの全日程終了後の来年4月までに発表になる方向だ。条件面でジョーンズ氏との交渉が難航した場合には、日本A代表の薫田真広監督、ヤマハの清宮克幸監督に方針転換する。

 日本協会の矢部達三専務理事はこの日、指導陣の去就について「今のところ白紙」と話したが、早急に世界8強会議を開いて指導陣の評価をまとめ、理事会で人事を協議する方針を明かした。

 ◆エディー・ジョーンズ

 1960年1月30日、オーストラリア・タスマニア島生まれ。現役時代はフッカー。引退後はいったん教職に就き、のちに指導者へ転身。クラブチーム監督を経て、01年にオーストラリア代表監督に就任した。母国開催の03年W杯は準優勝で、05年に退任。07年には技術アドバイザーとして、南アフリカのW杯優勝に貢献した。09年にサントリーGMに就任。10年から同ヘッドコーチを兼任。