史上初の3連覇での3度目の優勝を目指す内村航平(22=コナミ)が、思わぬ爆弾を抱えた。体操の世界選手権東京大会は明日7日、東京体育館で開幕する。5日、日本男子は試合会場での公式練習に臨んだが、内村は5種目目の得意の床運動で両ふくらはぎにけいれんを起こし、演技を途中で中止した。続く最後のあん馬は演技をしたが、これまでも同じ症状が何度か出ており、金メダル確実といわれるエースに、開幕直前に思わぬ敵が現れた。

 内村がいつものように軽々と跳んだ。E難度の「後ろ跳びひねり前方屈身2回宙返りひねり」。着地も見事に決まったと思った瞬間、着地姿勢を取ったまま、数秒間、動けなくなった。「両ふくらはぎがつりました」。両足首を回したり、手で太ももをたたいたりしたが、最後はフロアから降りて演技を中断した。

 田中佑、沖口の演技後、再び内村は演技をするためにフロアに上がり、角に立った。「最後、着地だけをやろうと思った」。しかし、演技に入ろうと両手を上げたポーズを取ったまま動かない。結局、「またつりそうになった」と、演技を中止した。

 8月10日の試技会後、床運動を練習しているときに右足首を捻挫した。約3週間練習ができず、9月2日の全日本社会人選手権は大事を取って床運動と跳馬を欠場した。大会後に本格的な練習を始め今大会直前の練習で久々に追い込んだ。「捻挫して筋力が落ちていた。疲れがたまっているのかも」と振り返った。

 大事には至らなかったが「これまで2、3回、こういうのがあった。若干、つり癖がついたのかもしれない」と珍しく不安を口にした。右足首を捻挫した時も、つった後に起こった。この日は、自重して途中で演技を止めた。

 チームは栄養管理やけいれんへの対策も取っている。立花泰則男子代表監督も「あの(止めた)判断で良かったと思う」と心配はしていない。しかし、けいれんは、いつ起こるか分からないだけに、逆に厄介だ。内村を脅かす相手さえいないと言われた今大会。開幕直前、意外なところに敵が潜んでいた。【吉松忠弘】