<ラグビー・トップリーグ:近鉄32-16コカ・コーラウエスト>◇30日◇大阪・花園ほか

 昨季9位の近鉄が、2年連続の開幕戦勝利を飾った。コカ・コーラウエストに完勝。PGで着実に加点した。今季から率いる前田隆介監督(37)は就任後初勝利。早大ラグビー部の同期で、先日リビアで交通事故死したテレビ朝日の野村能久カイロ支局長(享年37)に白星を届けた。東芝はトヨタ自動車に36-15と快勝。初昇格のNTTドコモは、リーグ復帰初戦のホンダと19-19で引き分けた。

 近鉄を勝利に導いた前田監督の目は、少し赤かった。雨でボールが滑る中、堅実な試合運びを展開。相手が犯した6つの反則を、すべてPGで得点した。身長160センチに満たない小柄な新監督は「PGを狙える位置ではしっかり狙っていくプランだった。緊張して、昨日の夜はあまり寝付けなかった」と明かした。

 開幕目前の前日29日、東京に向かった。野村さんの通夜に参列するためだった。「事故は信じられないこと。行き帰りの新幹線でもいろいろ思い出して、結局寝られなかった。(開幕の)この一戦は本当に重要だった」。勝利を天国に届けたい一心だった。

 試合後会見に同席した新主将のFB高は「まず監督に感謝して、おめでとうと言いたい」と笑顔を作った。課題の守備も1トライを許しただけ。「次の神戸製鋼にもしっかりチャレンジしたい」と前田監督。新生近鉄が上々のスタートを決めた。【大池和幸】