<男子テニス:スイス室内>◇6日◇スイス・バーゼル◇シングルス決勝

 世界ランキング32位の錦織圭(21=ソニー)のツアー2勝目はならなかった。決勝では4大大会歴代最多の16度優勝を誇る同4位ロジャー・フェデラー(30=スイス)に1-6、3-6のストレートで敗れた。しかし、準決勝でノバク・ジョコビッチ(セルビア)を破り、日本男子史上初めて世界1位から勝利を収める大金星を挙げての準優勝で、7日に発表される最新世界ランクでは自身最高の25位前後に上昇する。今週のパリマスターズ大会を最後に、日本に一時帰国する。

 敗れたとはいえ、錦織の手にした準優勝の銀のプレートは光り輝いていた。準決勝でジョコビッチを破った再現はならなかったが、「今週は本当に楽しかった。また戻ってきたい」と、表彰式で振り返った。フェデラーとともに決勝で表彰される日本男子など、誰が想像しただろう。

 第1セットの第1ゲームで、錦織は40-0とリード。しかし、ここから逆転され、1ゲーム目のサービスゲームを落とす。このゲームがすべてだった。流れは、あっという間にフェデラーに傾いた。最後まで追い掛ける展開は変わらず、そのまま力尽きた。

 07年の米マイアミでの大会で、当時、世界1位だったフェデラーは、ジュニアで無名だった錦織を練習相手に指名した。それから約4年半。フェデラーは「ケガで大変だったけど、必ず戻ってくると信じていた」と錦織の活躍を喜んだ。錦織は同じ舞台に立つことで、敗れたとはいえ、あの時の恩を返した。