<柔道:マスターズ大会>◇最終日◇15日◇カザフスタン・アルマトイ

 柔道男子90キロ級で西山将士(26=新日鉄)が初優勝した。準々決勝で世界選手権2連覇中で世界ランク1位のイリアディス(ギリシャ)に優勢勝ち。決勝でも残り数秒で有効を奪って競り勝ち、同級の五輪代表争いから1歩抜け出した。同100キロ超級は上川大樹(22)が決勝延長で惜敗して準優勝。同81キロ級の中井貴裕(21)、女子70キロ級の国原頼子(26)も銀メダル。ほかの選手は決勝に進めず、今大会の金メダルは男子1、女子4で終わった。

 もはや「3番手」とは言わせない。気迫の初優勝で西山将がロンドン五輪代表候補へ急浮上した。決勝のボプロソフ(ロシア)戦。互いに指導を1つずつ受けて、延長目前の残り2秒。左大外刈りで執念の有効を奪った。「この試合でボロボロになるつもりだった。優勝するぞというよりも、全てを出し尽くそうと思っていた」とうなずいた。

 準々決勝では世界ランク1位で世界選手権2連覇中のイリアディスに臆せず挑んだ。しつこく攻めて、指導2を誘って優勢勝ち。100キロ級で勝った穴井を除き、90キロ級でイリアディスを破った日本人選手は05年世界選手権の泉以来。「1回戦から強い選手と戦えて、楽しかった」。この大金星で勢いに乗った。

 昨年4月の全日本選抜体重別で初戦敗退し、世界選手権代表から漏れた。その大会で西山大が銀メダルを獲得。小野も3位に入り、五輪は一時、大きく遠のいた。だが、昨年末のグランドスラム東京、GP青島を制し、そして今大会も。国際大会は破竹の3連勝だ。

 今大会男子初の金メダルに、日本男子代表の篠原監督は「西山将は頭1つ出た」と評価した。だが、当の本人は「五輪は全く考えていない。まずは休んで、次の試合でも出し切る」。90キロ級が面白くなってきた。

 ◆西山将士(にしやま・まさし)1985年(昭60)7月9日、山口県生まれ。6歳から柔道を始める。国士舘高3年時に高校総体団体と個人100キロ級で優勝。国士舘大を経て新日鉄入社後に90キロ級に転向。09年全日本選抜体重別優勝。10、11年グランドスラム東京優勝。得意技は大外刈り、大内刈り。179センチ。