<ラグビー:日本選手権・サントリー21-9パナソニック>◇決勝◇18日◇国立

 サントリーがパナソニックを下し、2大会連続5回目の優勝、トップリーグと合わせ今季2冠を達成した。後半25分には14-9と5点差に追い上げられ、4分後にはCTB平浩二(29)のトライ(ゴール成功)で突き放す勝負強さを披露。エディー・ジョーンズ監督(52)のもと、昨季までの攻撃力に加え、防御にも磨きをかけ、「サントリー黄金時代」を印象づけた。ジョーンズ監督は今日19日に、日本代表新監督として初の代表メンバー発表を行う。

 後半29分、ターンオーバーから相手陣深くに攻め込み、ラックを重ねて最後は平がインゴールに飛び込んだ。「最後は僕だけど、全員で取ったトライ」と平。サントリーらしいトライで勝利を決定づけた。守っては相手を3PGだけに抑えた。「日本一攻撃的なラグビー、それは達成した。そして日本一のディフェンスのチームでもある」。試合後、ジョーンズ監督は誇らしげに振り返った。

 同時に「正直ホッとしている」とも話した。次期日本代表監督として、自分のやり方が正しいと証明する必要もあった。

 ラグビーの指導以上に「クラブの文化」へのこだわりが強い。就任当初は「サントリーをマンチェスターUのようなクラブにしたい」と話した。欧州サッカークラブも積極的に視察。ACミランで選手の自己管理ぶりを勉強し、アーセナルの白亜のクラブハウスには「ベンゲル監督のやりたいサッカーが表れている」と感じたという。

 この試合で勇退するジョーンズ監督にNO8竹本主将は「いい文化を根付かせてもらった。必ず引き継いでいく」と話した。平が「試合よりきつい」という練習、自己管理、仲間へのサポート、相手へのリスペクトの精神、そして「エディー流攻撃ラグビー」は、今後のサントリーを支えるはずだ。

 「次のターゲットは日本代表を優勝させること」。どこまでも前向きで、精力的な指揮官に日本ラグビーの将来が委ねられる。【岡田美奈】

 ◆エディー・ジョーンズ

 1960年1月30日、オーストラリア生まれ。現役時代はフッカー。クラブチーム監督を経て、01年にオーストラリア代表監督に就任し、03年W杯準優勝。07年W杯では南アフリカ代表の技術アドバイザーとして優勝に貢献。09年にサントリーGMに就任、10年から監督を兼任。

 ◆サントリー

 1980年(昭55)にラグビー部創部。89年度東日本リーグ初優勝、その後同リーグ5回優勝。全国社会人大会は95年度初優勝(三洋電機と両者優勝、トライ数差で日本選手権進出)。練習場は東京・府中市。吉野俊郎、今泉清、永友洋司、坂田正彰ら日本代表選手を輩出。愛称サンゴリアスはサントリーの「サン」と巨人を示す「ゴリアス」の造語。