教えて、恭子先生!

 ロンドン五輪競泳の日本代表選手は11日、都内の合宿先で取材に応じた。ひときわ注目されたのは「岩崎恭子2世」と呼ばれる200メートル平泳ぎ代表の渡部香生子(15=JSS立石)。唐突に世間の関心が高まった戸惑いを口にし、共通点が多い92年バルセロナ五輪金メダリストの先輩の助言を希望した。この日取材で訪れた岩崎恭子さん(33)も、精神面の相談を歓迎した。

 躍進著しい15歳は、ちょっと緊張しているようだった。報道陣に囲まれると、恥ずかしそうに視線は足元に。高校生になったばかりの渡部は「中学の時も注目とかは全然なかったので、いきなりそういうことになっていて…。しゃべるのもうまくできないです…」とはにかんだ。そして、「機会があれば(岩崎さんに話を)聞いてみたいと思います」と望んだ。

 昨年5月のジャパンオープンで、3種目すべてで日本中学新記録で優勝。14歳での大ブレーク、平泳ぎ、後半勝負型。小柄で細身な体形も相まって、自然と「岩崎恭子の再来」と呼ばれるようになった。

 7日の日本選手権で平泳ぎ200メートルで2位に入り、五輪切符を獲得。同じような道を歩むことが決まった。高まる世間の関心を肌身に感じるからこそ、同じ境遇を体験した先人に相談したかった。

 同選手権の表彰式では、岩崎さんから直接メダルをかけてもらったが、初対面は昨夏。取材で所属するクラブを訪れた時「注目されるのはいいこと。嫌な思いもするかもしれないけど、気にすることじゃないよ」というアドバイスを受けた。紙に連絡先も書いてくれた。

 この日も取材で渡部と対談した岩崎さんは、相談希望を伝え聞くと、「彼女は泳ぎは私なんかより全然完成している。でも、精神面のことならいつでも聞きにきてほしいです。いま私は話を聞く立場。聞かれるのと両方を知っているので」と快く話した。

 当人は「岩崎2世」の声に「うれしいですが、私はまだ五輪で優勝したわけでもない。しっかり結果を出したい。金メダルは相当難しいと思う。表彰台を目標に頑張りたい」と誓う。普段は休日に自分でネイルをしたり、洋楽が好きで、数学、英語、理科が嫌いな高校1年生。偉大な先輩の後押しを受けながら、注目の大きさとも向き合っていく。【阿部健吾】

 ◆岩崎恭子(いわさき・きょうこ)1978年(昭53)7月21日、静岡・沼津市生まれ。沼津五中2年でバルセロナ五輪優勝。日大三島高-日大。米国にコーチ留学した後は、テレビのコメンテーターなどでも活躍している。92年時のサイズは157センチ、47キロ。