「絶叫」に異例のお願いだ。ロンドン五輪切符がかかるアマチュアボクシングの女子世界選手権(12~19日、中国・秦皇島)に出場する日本代表選手が2日、都内での直前合宿を公開。お笑いコンビ「南海キャンディーズ」のしずちゃんことミドル級の山崎静代(33=吉本クリエイティブエージェンシー)が、リング上での練習で呼吸を乱すと、「やめてください!

 撮らないでください!」と叫び声を上げた。

 練習開始から約1時間。スパーリングを交えながら指導を受けると、次第に泣き始めた。息を切らしてコーナーに突っ伏し、ぼうぜん自失。その姿を撮るテレビカメラを拒否して絶叫。顔を蛇口の水で洗い、そのまま控室に消えた。

 1時間の練習中断後、目を腫らして戻った山崎。その姿に樋山茂監督は「本人がナイーブになっている。カメラがトラウマ(心的外傷)になっている。ちょっと考えてほしい」と報道陣に“自粛”を願い出た。

 梅津トレーナーによれば「調子は上がってきていた」という。約2週間前には同様に練習中に泣く姿に「勝つために泣くなら良いけど、ダメで泣くなら(五輪挑戦を)やめろ」と叱咤(しった)。「やります」という山崎の成長を感じ取っていた。同トレーナーは「今までは黙ってしまっていた。やめてほしいと言えたのは成長なんですけどね」とおもんぱかった。

 ベスト8入りで五輪が決まる大会まで約1週間。中国でも注目されることは必至だ。「どんなときでも自分を崩さないような自信をもって戦いたい」と話すが、悲願達成には“トラウマ”を乗り越える必要がある。【阿部健吾】