23日にカナダのケベックで開かれた国際オリンピック委員会(IOC)理事会で、20年夏季五輪招致の書類による第1次選考が行われ、16年五輪招致の最終選考で敗れ、今回再挑戦した東京が、マドリード(スペイン)、イスタンブール(トルコ)とともに最終選考に進んだ。開催都市は来年9月7日に決まる。

 東京は、コンパクトな会場計画や豊富な宿泊施設が高評価されたが、弱点も露呈した。東日本大震災後の原発停止によるエネルギー面、一部地域で基準値を超える放射線量が検出されている点などから「環境と気象」で懸念を示されたほか、政府や国民の開催支持率が3都市で最低の47%と、「国内への強力なメッセージ発信が必要」と指摘された。

 前回リオデジャネイロ(ブラジル)に負け、今回の招致に並々ならぬ意欲をみせる東京都の石原慎太郎知事は「本当に激しい戦いはこれからだ」と、強調。「メディアも水をかけずに、ガソリンをぶっかけて(盛り上がるよう)火をつけてくれ。頼むよ」と、世論喚起に協力を求めた。

 第1次選考には5都市が名乗りを上げ、ドーハ(カタール)とバクー(アゼルバイジャン)が落選。マドリードは競技施設など、イスタンブールは、開催支持率が高評価されたが、東京は、于再清IOC副会長(中国)が「東京がベスト」と断言しており、有力候補として最終選考に突入する。「アジアの国は東京だけ。基礎票を得られることで戦いやすくなった」(竹田恒和・東京招致委員会理事長)との読みもある。招致が成功すれば1964年以来、56年ぶりの開催で、震災からの復興を世界に示す機会にもなりそうだ。

 ◆マドリード

 スペインの首都。人口約327万人、12年、16年に続く3大会連続の五輪招致。16年は、最終選考の決選投票でリオデジャネイロに敗れた。国際大会の経験は豊富だが、欧州債務危機の影響が懸念され、財政面の不安は否めない。既存施設が多く、コンセプトは運営を簡素化した「スマート五輪」。バルセロナに続く、国内2度目の夏季五輪を目指す。

 ◆イスタンブール

 トルコ最大の都市。人口1312万人。00年から12年まで4大会連続で五輪招致に失敗、今回が5度目の立候補となる。経済成長が著しく、招致実現ならイスラム圏で初の五輪だが、テロなど治安面の不安を抱えている。トルコが、五輪と同じ20年のサッカー欧州選手権開催にも立候補しているため、大規模大会のどちらに本腰を入れるか分からず、「大きなリスク」との指摘もある。