史上初の双子で金メダルへ、再スタートを切った。レスリングのロンドン五輪男子代表合宿が21日、長野・菅平で公開された。ケガで出遅れていたフリー55キロ級の湯元進一(27=自衛隊)が復帰し、双子の兄である60キロ級の健一(ALSOK)と3カ月半ぶりに本気のスパーリングを行った。途中のポイントで負けていたが「最後」の声がかかった“決定戦”で進一の勝ち。「納得いかない」と首を振る兄を横目に「最後に強いんです」と満足げに笑った。

 3カ月ぶりに戻ってきた。3月中旬の練習中に右股関節を肉離れ。その脚で五輪アジア予選で出場権をつかんだが、今度は股関節を動かす腸腰筋を痛めた。遅々として進まぬ回復。1カ月前にタックルに入ってみたものの、痛みが再発してやめた。「やったらできなくなると思い、我慢してきた」。耐えて、ようやく戻ったマット。手合わせした健一は「強い。普通に戻った」とうなずいた。

 88年ソウル五輪以来24年ぶりの金メダルの期待が懸かる男子レスリング。最後の金メダリストの佐藤満強化委員長は「俺たちは、金メダル“ザックザク”ジャパンになるぞ」と兄弟に呼び掛けた。「そう思ってもらえるのはうれしい」と健一。進一は「やっとスタートに立てた。後はやるだけです」と決意した。【今村健人】