<テニス:全米オープン予選>◇24日◇ニューヨーク

 日本男子テニス界に新星が誕生した。昨年の全日本王者の守屋宏紀(21=北日本物産)が、全米初挑戦で予選を突破し本戦入りを決めた。世界373位のダニエル・コサコウスキー(20)に4-6、7-6、6-3の逆転で勝ち、自身初の4大大会本戦入りとなった。これで、日本男子は錦織圭、添田豪、伊藤竜馬と合わせ4人が本戦に出場する。日本男子が全米でシングルスの本戦に4人出場するのは32年以来80年ぶりの快挙。4大大会では75年全豪以来37年ぶりとなる。

 3時間35分の死闘の末、最後は守屋が両手を突き上げた。2度目のマッチポイント。守屋が放ったこん身のフォアに、相手の返球は大きくアウトした。「最後はあんまり覚えていない。本当に勝てて良かった」。童顔の甘いマスクに、大粒の汗が光った。

 守屋の流れるようなテニスに対し、相手は力でねじ伏せる対照的なプレー。突き放すチャンスは、守屋に多く訪れるが、予選決勝の重圧からか試合はもつれた。「プレッシャーはしょうがない。全部受け入れた」。初めての経験に「昨年の全日本決勝より緊張した」と苦笑いだ。

 ロンドン五輪に出場した錦織、添田、伊藤に続く日本男子“第4の男”の誕生だ。「(彼らと)一緒に練習したりして意識している」。身長172センチと小柄ながら、持ち味は切れのいいストローク。今年に入り、筋トレを強化。「体力がついた」ことで初の本戦を手に入れた。

 日本男子テニスは、エースの錦織が引っ張り、戦後、最高の活況を呈している。守屋の勝利で、今大会の本戦には4人が出場。全米としては、32年以来80年ぶりの多さとなった。4大大会でも75年全豪に5人が出場して以来の数だ。「自分もその流れに乗りたい」。

 4人の中では、最も若い21歳だ。今年のロンドン五輪には刺激を受けた。「(五輪には)出てみたいですね」。16年リオデジャネイロ五輪では25歳と、最も脂が乗る年齢だ。日本男子テニスが、最高の流れを引き寄せている。【吉松忠弘】

 ◆4大大会の日本男子出場数

 過去、日本男子が4大大会本戦に出場した最多は、67年全仏で6人。渡辺康二、小西一三、渡辺功、森良一、小浦猛志、小林功が出場し、小西、小浦、森の3人が2回戦に進んだ。全米では、27年に5人出場したのが最多だ。日本女子は95年全豪で11人が本戦に出場し、それが4大大会本戦でプレーした日本選手の最多人数となっている。

 ◆守屋宏紀(もりや・ひろき)1990年(平2)10月16日、東京都町田市生まれ。6歳でテニスを始め、08年高校総体単複優勝。同年、日本ジュニアNO・1に輝く。湘南工大付高卒業と同時にプロ転向。昨年11月の全日本決勝で伊藤竜馬を破り初優勝を飾った。172センチ、64キロ。自己世界最高ランクは214位。