スピードスケートの10年バンクーバー五輪代表、高木美帆(18)が29日、帯広南商高の“1人卒業式”に出席した。1日の卒業式を海外遠征中で欠席したため、28日遅れで行われた。同競技史上最年少でバンクーバー五輪に出場した北海道・幕別町立札内中3年当時も、遠征のため出席できず1人で卒業式を行っており、3年ぶり2度目の異例の措置となった。4月に日体大に進学する。

 学校は春休みだったとはいえ、卒業生、在校生など有志50人が集合した。高木は卒業証書を受け取ると「たくさんの人が駆けつけてくれて恵まれていたんだと思う。新しい環境に変わるが、考えすぎずいろんなことに挑戦したい」と感謝を約1年後に迫った五輪への決意表明に込めた。

 高校3年間でトップ選手としては他に例を見ない約150大会に出場。経験を積むことで土台を作り上げた。2月の世界ジュニア選手権(イタリア)で日本史上初の連覇し、22日の世界距離別選手権(ロシア)女子1500メートル(13位)では、メダルに1秒48に迫るにまで成長した。「タフになった」と振り返る。

 らしさは失わない。女子大生のイメージを聞かれても「『花の女子大生』って感じですけど、あくまで自然体。メークとかもナチュラルでいきますよ」。指導した東出俊一監督が「自分を持っている」と話すように、今後もぶれることなく、地に足をつけ歩いていくつもりだ。

 これからソチ五輪を目指す大切なシーズンを迎える。「前回とは違う。やることはたくさんあるが、1つずつしっかりやっていきたい」。今度は女子大生として大舞台を目指す。【松末守司】

 ◆高木の今季

 高校時代は「出られるレースはすべて出る」を公言し、今季も国内外45大会に出場した。10月全日本距離別選手権でW杯代表入りすると、11月から1カ月オランダ、ロシアに遠征した。年末年始は遠征と帰国を繰り返し、国内、海外のレースに出場し、その間、1月には初めてインターハイ、国体にも出場。1月下旬からは1度も自宅に戻らず、W杯、世界選手権、最終戦の世界距離別選手権と約1カ月半の海外遠征をこなし、26日に帰国した。