全日本柔道連盟は25日、評議員会を開催し、上村春樹会長(62)を含む理事全員の解任を協議する臨時評議員会を7月中にも開くことを決めた。千葉県連会長の了徳寺健二氏が、上村会長の一連の問題での責任を問う解任動議を発案すると、他評議員からも意見が噴出。規約上この日の議題にできなかったが、大荒れの末に、規定に従って臨時評議員会に持ち越すことになった。

 上村会長が「4、5カ月をめどに辞任する」と表明した臨時理事会から一夜明け、株主総会にあたる評議員会が荒れに荒れた。即日辞任、現体制存続、それぞれを求める声が、真っ向からぶつかり合った。

 「一部理事選任の件」の議案に入った時だった。了徳寺氏が全柔連の定款17条1項「理事および監事の選任および解任」を持ち出し、「議案に解任も含むと考える。上村会長の解任を問いたい」と気勢を上げた。

 視線が交錯する両者。その間で、浅賀議長は「議案には『選任』はあるが『解任』はない。議案の提示も4週間前までに必要」と規則を説明。これに対し、現場の窮状を訴え続ける了徳寺氏。議論が滞る状況に「おとこ気を見せて」と言われた会長が手を上げる。

 上村会長

 分かりました。私も改革、改善を進めるにあたり、皆さんの声を聞きたい。支援がないとできない。公的なものではないが、結果を聞きたい。

 “緊急解任動議”を自ら提案。場を外そうと席を立ったが、これが導火線だった。「立つことない!」と上村派の声が続いた。

 「10月までなぜやらせてあげないのか。会長を尊敬しているし、東北は支持する。会長、体に気を付けて」と山形の沓沢評議員。同会長出身の熊本の中林評議員が「あなた(了徳寺氏)ばかり話をするのはおかしい。なんだその言い方は!」と怒鳴った。了徳寺氏が「これはどう喝じゃないですか」と反論すると「私は声が大きいんだ!」。失笑も起こるほど熱いやりとりが繰り広げられた。

 最終的には臨時評議員会での“延長戦”が決定。了徳寺氏は「議長選出が全て」と敗因を説明。会の冒頭で事務局側が推薦した浅賀評議員に異論を唱えて他の人を提案したが、挙手で33対17と現体制推薦の浅賀氏に決定。定款に精通し、理論的に解任動議を退けた。

 会を終えた上村会長は「真摯(しんし)に受け止めたい」と述べた。解任をかけた「夏の陣」へ、両陣営のにらみ合いが続く。【阿部健吾】