総工費13億8200万円をかけた、日本スポーツ界の新兵器がお披露目された。都内にある国立スポーツ科学センター(JISS)で19日、今年から新設されたハイパフォーマンス・ジムと風洞実験棟の内覧会が行われた。

 スノーボード・アルペン女子の竹内智香(29=広島ガス)が、するするとクライミングウォールを登っていく。ハイパフォーマンス・ジムに設置された最も難しいコースに挑戦し、あと1歩のところで失敗。「悔しい!」と笑顔を見せた。他にも15人が同時に練習できる低酸素トレーニング室などが設置された。竹内は「世界でもトップクラスの設備で、生かすか生かさないかは選手次第。五輪は出るだけではなくて、結果を出したい」と恩返しを誓った。

 16年リオデジャネイロ五輪に向けた研究も進められている。超低温リカバリー室で行われるマイナス110度の中に3分間入る“クライオセラピー”は、疲労から短時間でリカバリーすることができる。昨年のロンドン五輪で陸上男子100メートル金メダルのボルトも使ったという。ハイパフォーマンスユニット長の石毛氏は「(設備を)小さくしたものをリオで導入する想定をしている」と話した。

 4月に試運転の始まっている風洞実験棟は、国内最大規模を誇る。直径5メートルのフィンは最大風速35メートルを作り出し、ノルディックスキー・ジャンプの助走姿勢や飛行姿勢のトレーニング、スーツのテストなどができる。今後、ジャンプ女子の高梨らも合宿で使用する予定だという。【保坂恭子】