<全農カーリングソチ五輪世界最終予選日本代表決定戦>◇決勝第4戦◇17日◇札幌・どうぎんカーリングスタジアム

 北海道銀行が中部電力を8-5で下し、1次リーグ2試合を含めた対戦成績を4勝2敗として代表に決まった。ソチ五輪が消えた中部電力の市川美余主将(24)と藤沢五月(22)は号泣した。

 市川は、ソチ五輪消滅を質問されて沈黙した。押し黙った10秒間、両目にみるみる涙があふれた。「私は入社当時からソチを目指してここまでやってきた。まだ若くて実力が足りなかったのが敗因。自信はあったんですが、ここがソチに向けては、限界だったと痛感しています」と号泣した。

 今大会6度目の激突。前半にリードされて主導権が握れなかった。「大会中は何度も自信をなくして、お互いに話し合った。何が不安なのか、仲間が信じられないのか、と。いいショットをしている時はいいが、お互いに支え合う気持ちが欠けた時に負けていた。もっとスキップ(藤沢)を支えることができなかったかなと」。終戦直後は泣きじゃくる藤沢を慰めながら、メンバー全員で泣いた。

 中部電力カーリング部の1期生。08年にソチを目指し入社。和田監督は「大学の選択肢もある中で、高校卒業と同時に来てくれた」。スキップ藤沢加入で10年にチーム結成。昨年11月にパシフィックアジア選手権、今年3月の世界選手権と勝ち抜き、日本にソチ挑戦権をもたらした。市川は「私たちの力で道を築いてきたけど、最後の最後、世界で挑戦することもできずにここで終わってしまった」と、涙で声を震わせた。

 世界基準のチームだった。体格に勝る海外勢と戦うため、テークアウト(石をはじくショット)と力強いスイープを磨いた。世界最終予選でライバルになるドイツ、中国には世界選手権で勝った。世界カーリング連盟の推薦で「チーム藤沢」として世界最高峰のコンチネンタルカップ(来年1月、米ラスベガス)の招待状も届いている。日本チーム初出場の名誉だが、ソチ五輪への道は閉ざされた。

 市川は、今後について「(10月の)カナダ合宿で考えたいと思っています」と口にした。ただ来年3月には地元・軽井沢で日本選手権も開催される。6年越しの夢の続きは、涙が乾いた後にみる。【益田一弘】