<女子ノルディックスキー:W杯ジャンプ>◇個人第5戦◇4日◇ロシア・チャイコフスキー(HS106メートル、K点95メートル)

 

 沙羅ちゃんが負けた。昨季のW杯個人総合女王の高梨沙羅(17=クラレ)が、2回合計243・1点で3位に終わり、開幕からの連勝が「4」で止まった。1回目に98・5メートルで6位と出遅れると2回目も同距離で、女子単独最多となる通算14勝も持ち越しとなった。ただ、7日に発表される2月のソチ五輪代表入りは確実。昨季から続く連続表彰台記録も11に伸ばした。

 沙羅ちゃんがつまずいた。高梨は1回目6位から逆転を狙ったが、順位を3つ上げるのが精いっぱいだった。5連勝なら複合の荻原健司、モーグルの上村愛子に並ぶ日本人最多、通算14勝はライベルのサラ・ヘンドリクソン(米国)を突き放す女子単独最多勝と記録ずくめとなるはずだったが、すべてお預けとなった。「ジャンプのタイミングが合わないのが課題。これから先、直していかなければならない」と自分に言い聞かせるように話した。

 見たことのない光景だった。直前の公式練習では103メートルを飛び、他を圧倒していたが、試合では1回目は98・5メートルで6位。着地すると首をひねって納得のいかない表情を浮かべ、快進撃を続けた爆発的なジャンプは影を潜めた。2回目に98・5メートルを飛び、表彰台は確保したのが女王のせめてものプライド。優勝したアバクモワが100メートル越えを2回そろえたのとは対照的だった。

 ただ、悲観する必要はない。負けたとはいえ、7日に発表されるソチ五輪代表(現時点で3枠)に、昨季、今季のW杯の成績から選出されるのは確実だ。さらに、昨季から続く連続表彰台記録は11まで伸ばした。開幕から勝ち続けても、より高いレベルを求める女王は「結果には満足しているが、内容には満足していない」と空中姿勢や踏み切りのタイミングなど、細部にこだわり高みを目指してきた。

 6日に帰国し、W杯国内4連戦に出場する。大舞台に向け、女王が凱旋(がいせん)試合で軌道修正する。