<テニス:全豪オープン>◇第3日◇15日◇メルボルン・ナショナルテニスセンター◇男女シングルス2回戦ほか

 全豪テニスが燃えすぎだ!

 気温が40度を超える日が続き、数年来で最も酷暑だといわれるこの1週間。選手やボールボーイが体調不良を訴える中、敵は相手だけではないと、真っ昼間に世界17位の錦織圭(24=日清食品)は練習を敢行。約1時間、サーブを中心に練習し、今日16日の2回戦に備えた。

 暑いなんてものじゃない。コート上ではペットボトルの底が溶け、水が流れ出した。空気や風はドライヤーの熱風で、コート上は70度近くに達した。めまいが起きた第27シードのペールは「殺す気か」と、大会に不満を爆発させた。1回戦で棄権した選手は、男女合わせて9人。11年全米、13年ウィンブルドンと並んで4大大会史上最多タイの多さ。2時間49分と、今大会女子最長の1回戦となった奈良と彭帥の試合では、彭帥が嘔吐(おうと)。両足にけいれんが起きた。

 全豪特有の「酷暑規則」がある。日本では熱中症対策の基準にも使われる湿球黒球温度が、一定を超えると屋外の試合は全面ストップする。過去も何度か適用されているが、今年はまだ施行されていない。権限を持つレフェリーによると「湿度が低いため、大丈夫だと判断している」。これに多くの選手がかみついたが、錦織や奈良のように「暑さは気にならなかった」という選手もいる。錦織は気温40度の中、昼から1時間の練習。16日の第1試合に予定される2回戦の時間も、ほぼ同時刻。酷暑に体をなれさせる目的もあった。

 会場は14日が最高42・2度。この日も41・5度。今日16日の最高は44度が予想されている。【吉松忠弘】

 ◆湿球黒球温度(WBGT)

 軍隊やスポーツなどが、酷暑の下で活動する時に用いる指標温度。気温だけでなく、湿度、太陽の輻射熱(ふくしゃねつ)を、一定の計算式に当てはめて算出する。環境省は、熱中症との関係で、気温35度以上、WBGT温度31度以上では、運動は原則禁止という指針を公表している。