<テニス:全米オープン>◇第2日◇26日◇米ニューヨーク・ナショナルテニスセンター◇男子シングルス1回戦

 世界11位の錦織圭(24=日清食品)が、ダブル最多勝で復帰戦を飾った。4日に右足親指の腫れ物を切除する手術を受けて出場が危ぶまれたが、同176位のオデスニク(米国)に6-2、6-4、6-2のストレート勝ち。4大大会通算勝利数を32とし、佐藤次郎(故人)の持つ日本男子最多勝に並んだ。全米通算も8勝で、熊谷一弥(故人)の最多勝に追いついた。

 不安、恐れ、疑念などのマイナス材料は、スタートで一気に拭い去られた。錦織は第1セットの第1ゲームをブレークし、流れをつかんだ。「しっかり集中して1ポイント目から打って行けた」。最初の2ゲームで落としたのは、わずか1ポイントだけだった。

 左利きの相手の位置を見極めて深いところを突き、ロブやドロップショットなど多彩な打球で相手を手玉に取った。第2セットを1-3から巻き返すと、第3セットもその勢いのまま押し切った。「最初からシバくことができた。すごく満足している」。100%とはいかないまでも、十分に戦える状態で快勝発進だ。ノータッチの決定打は37本。相手の13本を大きく上回り「すごくいい気分」と満足そうに話した。

 相手と地力の差があるだけに、錦織の動きと調子だけが焦点だった。1週間前に抜糸したばかり。「できるかどうか不安だった」と欠場も考えた。カギは2日前、24日の練習で世界21位のロペスと実戦形式で対戦。トップ選手相手に好ショットを連発し「あの感覚がキーになって今日にのぞめた」と、出場に向けて気持ちの整理がついた。

 左股関節の痛みが再発し、直前まで出場を迷った5月の全仏と似た状況だった。だが大会前に3~4度の実戦形式の練習を選手相手にできたことが、全仏との大きな違い。「ただの練習だけだと感覚が抜けていく。試合形式では大きく違う」。5センチほどの傷口は、まだ縫った痕が生々しい。それでも準備に抜かりはなかった。

 これで4大大会通算32勝となり、佐藤次郎と並ぶ日本男子最多。それでもトップ10復帰をめざす錦織にとって、日本記録は通過点にすぎない。「もっと上をめざしたい」。世界最多はフェデラーの275勝だ。

 次戦は、昨年のマドリード・オープン準々決勝で不覚を取った同48位のアンドゥハールが相手だ。「弱点があまりない。でも、いいプレーができれば大丈夫」。ケガから復帰しての1勝という大きな自信を手に、錦織の世界トップ10への道が再び始まった。【吉松忠弘】

 ◆錦織の4大大会

 本戦初出場は08年ウィンブルドン。18歳5カ月での4大大会本戦は、日本男子最年少だった。成績は初戦敗退。今大会で本戦出場は21大会目。最高成績は12年全豪でのベスト8で、日本男子80年ぶりの快挙だった。全米は08年4回戦(16強)が最高成績。

 ◆WOWOW放送予定

 28日午前7時55分~、午前0時~、WOWOWライブ。第3日ナイトセッション、第4日デイセッション。男女2回戦ほか。生中継。放送時間変更の場合あり。