<体操:世界選手権>◇最終日◇12日◇中国・南寧◇種目別決勝

 個人総合で5連覇を果たした内村航平(25=コナミ)が、種目別の男子鉄棒で15・725点で銀メダルを獲得した。世界選手権で通算16個目(金7、銀5、銅4)のメダルとなり、日本選手で監物永三の15個(金7、銀5、銅3)を上回り単独最多となった。平行棒は加藤凌平(順大)が15・666点で銅メダル。日本男子は今大会で金1、銀3、銅2のメダルを獲得した。

 個人総合で5連覇した“超人”内村のすごみを強烈に印象付ける鉄棒だった。種目別決勝で挑んだのは「ぶっつけ本番」の構成。これまで1度も試したことがなかったが、最強オールラウンダーは予選から大幅に難度を上げた演技を事もなげにやり遂げ、スペシャリストがしのぎを削る最高峰の戦いで銀メダルをもぎ取った。

 最大の見せ場はダイナミックな離れ技の連続だ。G難度「カッシーナ」で宙を舞ってバーをつかむと、続けざまにF難度「コールマン」を成功。組み合わせの加点を稼いだだけでなく、観客や審判員の心もつかんだ。

 対応力も光った。離れ技の「リューキン」を予定した場面では直前の技で姿勢が流れたと察知し、ひねりを1回減らした「伸身トカチェフ」にとっさに修正した。瞬時の決断に「いい判断」と納得顔だった。

 種目別で頂点を狙う選手の多くは、得意種目に練習時間を割く。内村は「(全6種目の)個人総合をやる中での種目別の練習は難しい」という。種目別で8個目のメダルとなり、総数でも日本選手最多16個に積み上げた努力の天才は照れ笑いして「そんなに取ったのか」と感慨を込めた。

 ◆体操世界選手権の最多メダル獲得者

 日本体操協会によると、外国勢の男子では90年代のスター選手でバルセロナ五輪6冠のビタリー・シェルボ(旧ソ連、ベラルーシ)が23個、女子では90~00年代に活躍したスベトラーナ・ホルキナ(ロシア)が20個を記録。